米メジャーリーグ公式サイトは『球界を揺るがしたFAの決断』と題し、1974年以降に起こった23選手の歴史的契約を、過去に遡りながら紹介した。

 まずは19年オフ、9年3億2400万ドルという投手としては史上最高額でヤンキース入りしたゲリット・コールの契約が挙がった。

 続いては18年オフ、ブライス・ハーパーがフィリーズと契約した13年3億3300万ドルと、マニー・マチャドがパドレスと交わした10年3億ドル。まさに高額な長期契約が衝撃を与えてきた歴史を振り返っているが、17年オフは違った。

 日本ハムからポスティングされていた当時23歳の大谷翔平が、最終面談を行ったカブス、レンジャーズ、ドジャース、ジャイアンツ、マリナーズ、パドレスに断りを入れ、「家族のような雰囲気」を感じたというエンゼルスを選んだことを挙げた。1年目、右肘を痛めた大谷は二刀流として完走は出来なかったが、22本塁打を放つなど衝撃のデビューを飾り、新人王に輝いた。

 そのエンゼルスは11年オフ、カージナルスからFAとなっていたアルバート・プホルスと10年2億5400万ドルで契約。04年オフには5年7000万ドルでブラディミール・ゲレーロを獲得したことも記憶に新しい。しかしその04年オフはカルロス・ベルトラン、ペドロ・マルチネスの大物二人と契約したメッツが主役となった。

 今から20年前の00年オフはアレックス・ロドリゲスがレンジャーズと当時の史上最高額、10年2億5200万ドルで契約。その2年前の98年オフ、ランディ・ジョンソンは4年5200万ドルでダイヤモンドバックスへ。21世紀に入ってから年俸相場が大きく上昇していったことが伺える。

 92年オフ、バリー・ボンズがジャイアンツと6年4375万ドルで契約。78年オフ、ピート・ローズはフィリーズと4年324万ドルで契約し、80年に初の世界一をもたらした。76年オフはレジー・ジャクソンが5年300万ドルでヤンキースへ移籍し世界一に貢献。

 この時代から始まった『前例』が有望な選手の先物相場を押し上げることを繰り返してきたわけだが、新型コロナウィルスによる影響が懸念されている今オフのFA市場はどのような動きを見せるのだろうか。