ヤンキースから心臓の鼓動が消えた――。名門に今季最大級の暗雲が垂れ込めている。米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は4日(日本時間5日)、ニューヨーク・ヤンキースの主砲アーロン・ジャッジ外野手(34)が右脇腹の第一肋骨疲労骨折と診断され、4~6週間後に再検査を受けると報じた。球団は今季中の復帰を見込むものの、再検査は復帰時期の決定ではなく、骨の回復状況を確認する段階にすぎない。10日間の負傷者リスト(IL)入りに加え、60日間ILへ移行する可能性もあり、早くても8月以降の復帰が現実味を帯びる。
深刻なのは、単なる大砲の離脱ではないことだ。ジャッジは今季59試合で打率2割4分8厘、17本塁打、38打点、OPS・907。5月以降は痛みの影響もあって数字を落としていたとはいえ、開幕から5週間で12本塁打を放ち、4月のOPSは1・000を超えていた。相手投手に与える圧力、打線全体の威圧感、クラブハウスでの求心力まで含め、ヤンキースの攻撃を形作ってきた存在だった。
米スポーツ専門局「ESPN」の番組「SportsCenter」でもこの話題は大きく扱われ、アンカーは「ヤンキースは心臓部を失った」と評した。スタントン、ドミンゲスも離脱中。穴埋め要員だけでジャッジの存在感を補うのは不可能に近い。
救いがあるとすれば、チームは4日(同5日)のガーディアンズ戦(ヤンキースタジアム)に2―1で競り勝ち、37勝25敗でア・リーグ東地区首位を守っている点だ。ただし2位レイズとはわずか0・5ゲーム差。薄氷の首位に過ぎず、主砲不在のまま失速すれば、一気に追い落とされかねない。
不安はグラウンド内だけにとどまらない。SNS上でも米ファンの間で「ヤンキースはもうダメだ。パニックトレードをするだろう」との声まで噴出。焦りに任せた補強に走れば、今季の戦いだけでなく将来設計まで狂わせる危険がある。ライス、ベリンジャー、ジャズ・チザム・ジュニア、ゴールドシュミットらが奮闘しても、ジャッジの影を完全に消すことはできない。
名門は首位にいながら、どこか追い詰められている。再検査までの4~6週間は単なる待機期間ではない。王座への道を踏み外すか、それとも心臓を失ったまま踏みとどまるか。その命運を測る、重すぎる時間になる。












