不衛生すぎるベンチ…メジャーの悪習改善は今が好機

2020年05月19日 11時00分

メジャーのベンチは汚い

【広瀬真徳 球界こぼれ話】コロナ禍の影響で開幕が遅れているメジャーリーグに明るい兆しが見え始めてきた。米国時間11日(日本時間12日)のオーナー会議で7月4日(同5日)の独立記念日から無観客での開幕を目指す方針を固めたからである。

 MLBは当初5月中の開幕を目指していたものの、国内の新型コロナウイルス感染拡大が収まらず断念。再延期を余儀なくされていた。だが、今回の協議でシーズン開幕のめどが立った。今後は短縮、変則が濃厚な試合数やプレーオフについての具体的な調整に入るとみられる。

 もっとも、これで「安心」とは言い切れない。1か月半後の開幕時にコロナが終息しているかは微妙なところ。必然的に選手にはグラウンド内外での感染拡大防止に向けた新たな行動規範が要求されることになる。

 例えば昨季までは日常的に行われていた選手同士のハイタッチやハグ。これらは極力避けなければならない。トレーニングルームの機器やグラブ、バットを含めた野球道具の消毒。さらにはメジャーならではの習慣であるベンチ内でのガムやひまわりの種の食べ方にも改善が必要となるだろう。

 以前、当コラムでメジャー選手がベンチ床をゴミ箱のように汚す行為に警鐘を鳴らしたことがある。一部では「ゴミの散らかしはメジャーの文化。球場内で働く清掃員の仕事を奪いかねない」と捉えるファンや関係者もいるが、客観的に見れば不潔以外の何物でもない。子供やファンに夢を与えるべき選手がすべき行為でもないはずだ。特に現在は新型コロナウイルスが蔓延する真っただ中。各選手がこれまで通りツバやガム、ゴミをベンチに散らかせばコロナ禍の終息に悪影響を及ぼしかねない。

 一昨年、エンゼルスの大谷翔平(25)がベンチ内でひまわりの種を食べた際、その殻を紙コップ内に一つずつ律儀に捨てる行為が米記者らに称賛された。二刀流右腕の何げない所作だったとはいえ、米国内でもベンチ内における選手たちの衛生向上機運は高まりつつある。

 今回の災禍はMLBにとって絶好の悪習改善の好機と言える。7月開幕時にはメジャーリーグでも「新しい生活様式」ならぬ「新しいベンチでの過ごし方」が定着することを願いたい。

 ☆ひろせ・まさのり 1973年、愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。