ラストゲームの後、名将は後悔の念に駆られていた。第104回全国高校野球選手権大会(甲子園)で、3年連続22回目出場の明徳義塾(高知)はまさかの初戦敗退。名門にとっては7年ぶり2度目の屈辱だった。

 11日の2回戦、九州国際大付(福岡)に1―2の接戦で敗れた。試合後、馬淵史郎監督(66)は「過信でしょうかね」「監督の差でしょうね」などとおなじみの〝馬淵節〟をちりばめて総括。この夏、最初で最後となる甲子園での会見は約10分ほどで終わった。

 勝負に徹してきた66歳。ゆえにヒール的なイメージが根付いている印象も強いが、野球に身を捧げてきた男はこの夏、ある葛藤を抱えていた。

「かわいそうな目にあわせてしまったなあ…と思ってるんです」。高知県大会から九州国際大付戦までの5試合、明徳義塾の選手起用人数は11人。その少なさについて、馬淵監督はこう説明した。「今年は(県大会の)初戦から組み合わせが厳しかったんです。それで例年と違って全員を使ってやれなかった。初戦からフルメンバーでやらざるを得なかったんです。3年生は進路のこともある。それを考えると…」。

 11人しか起用できなかった申し訳なさと同時に、レギュラーとそれ以外のメンバーの実力差を縮められなかった自身への戒めもにじんだ。選手は甲子園に出るために、勝つために、全国から入部してくる。勝つことに徹する一方で、教え子の卒業後をどれだけ明るいものにできるか。名将の〝懺悔〟には、アピール機会を整えられなかった3年生部員への深い愛情が込められていた。