第108回全国高校野球選手権福岡大会決勝が25日、北九州市民球場で行われ、東筑が希望が丘を3―2で下し、9年ぶり7度目の夏の甲子園出場を決めた。昨夏の大会後に就任した山下聖士監督の下、攻守がかみ合った伝統校は激戦区・福岡を勝ち抜き、歓喜に沸いた。

 勝負を決めたのは4回だった。0―0の無死満塁。河野(2年)は2球続けてスライダーに空振りしたものの、バスターに切り替えると、打球は右越えに走者一掃の三塁打となり、試合の均衡を破った。「自分が決めてやるという気持ちでした。練習でも結果が出ていたので、自分を信じて振りました」。3年生との最後の夏を終わらせたくない。その思いをバットに乗せ、値千金の一打を放った。

 山下監督は「スクイズも考えましたが、三振でもいい、思い切っていけと送り出しました。バットに当たりさえすれば1点は入ると思っていました」と勝負どころを振り返った。迷いなく打たせた采配が、大きな3点につながった。

5回に走者一掃の適時三塁打を放放った東筑・河野咲郎
5回に走者一掃の適時三塁打を放放った東筑・河野咲郎

 先発・加納(2年)は3回2/3を無失点。4回二死からマウンドを託されたエース・深町(3年)は、6回に2点を失って1点差に迫られたものの、それ以上の反撃は許さなかった。「最初は気持ちが浮いていましたが、途中から修正できました。バックを信じて投げることだけを考えていました」。5回1/3を投げ抜いた右腕は、最後の打者を打ち取ると両拳を握り締めた。

 深町も「河野が打ってくれて本当に助かりました」と感謝を口にした。一方の河野は「3年生たちとずっと野球をやりたいという気持ちでした」と笑顔を見せ、互いを支え合う東筑らしさをのぞかせた。

 主将の平山(3年)は「守備から流れをつくることが自分たちの強み。チャンスで一本が出たことが勝因です」と胸を張り、「福岡県代表として日本一を目指します」と力強く宣言した。

 山下監督は「粘り勝つ、守り勝つを体現してくれた。本当に選手たちは誇りです」とナインをたたえ、「甲子園では勝利の校歌を歌いたい」と誓った。

 東筑は俳優・高倉健、近鉄やオリックスで監督を務めた故仰木彬氏らを輩出した伝統校。悲願をかなえたナインは、福岡代表の誇りを胸に、全国の舞台へ挑む。