西武が交流戦後の20試合で5勝14敗1分けと急失速。最大7あった貯金を使い果たし、借金3の4位で前半戦を終了した。そのひとつの要因が6月後半以降の本拠地・ベルーナドームの環境問題だ。リーグ再開後初戦となった6月27日の日本ハム戦で今井達也投手(27)が4回途中に「熱中症」で緊急降板。これを発端に軸となる先発陣の状態が悪化し、チームも迷走し始めた。ただ球団側も、この問題を静観しているわけではない。短期、中期目線で関係者も奔走しているが…。

 今季の西武は、ここまで43試合あった本拠地・ベルーナドームで23勝20敗。交流戦まで20勝12敗と8つの貯金を作っていた。ところが交流戦明けの本拠地11試合で3勝8敗と大きく勝率を下げ、CS圏内の3位から4位へと後退。3位・オリックスまでの差は22日時点、残り55試合で5・5ゲームに開いている。

 高温多湿となる夏のベルーナドーム対策に高橋光成投手(28)は「どうにもできないので開き直る。対策は水も飲むし、しっかり睡眠もとるし、食事もする。その先はどうにもできないので割り切って試合を頑張る。それしかないです。準備して試合に入っているので(熱中症に)なったらしょうがない」と本音を吐露。現場の限界を切実に語っている。

 すでに球団は今月8日から観客席のメイン&サブコンコースにミスト施設を導入し、稼働させている。8月9日からは新たな暑熱対策としてメインコンコース入り口付近に「ビッグウォーターフォール」という滝施設を設置し、一層の冷涼化を図ることも発表済みだ。

 もちろん、これが高温多湿問題の根本的解決にならないことは、球団側も重々承知の上。関係者は「われわれもいろいろと調べて、短期的な目線と中長期的な目線とで改善策を模索しています」。短期的にはミストの散布、滝施設の設置を実行に移している。また、今後は現在、外野席の頭上にある西日よけの〝庇(ひさし)〟を手動から電動に切り替える予定もある。

 さらに「新潟の方で冬に積もった雪を室のような場所に保存しているところがあって、その雪を持ってきて冷風を(ドーム内に)送り込むとか短期的なアイデアはいろいろと出ています」(同関係者)という。ベルーナドームに隣接する狭山スキー場も利用した改善策を検討している。

 中長期的なプランとしては、2022年のサッカーW杯・カタール大会で導入された〝秘密兵器〟も候補に挙がる。球団側が調査対象としているのは、水で冷却された風がグラウンドレベルの送風口から送られ、スタジアム全体を冷やす同大会独特の冷房システムだ。

 これらを参考に現在、屋根部分の施工を請け負った鹿島建設と話し合いを重ね、最もこの問題で被害を受けている投手が立つマウンド付近、または内野全体の温度と湿度を下げられないかという改善策も検討されている。「天井に空調を取り付ければいい、という意見も聞くのですが、そもそもドームの構造上の問題で後から何かを取り付ける強度がない」(前出関係者)

 もちろん、これら全てを解決する根本策は新ドーム球場の建設。OBからは「今のドームに隣接する旧第三球場(現レッドパーキング)に敷地はある。そこに新ドーム球場を作ればいい。駐車場不足の問題は出てくるが、これならシーズンを止めることなく新球場の建設が進められる」といった案も出ている。だが、費用面の問題やシーズン中の資材搬入経路の確保などを含め、球団が単体で決裁できる問題ではなくなってくる。

 今は実現可能な最善策を模索するしかないようだ。