波紋は全国に広がりそうだ。福岡県高野連が25日に新型コロナウイルスの影響で中止となった「第102回全国高校野球選手権福岡大会」の代替大会について開催の断念を発表。開催を見送った理由に関してはまだ感染リスクが残っており、無観客で実施した場合でも選手や関係者の安全確保に不安が残ることや、学校生活においても休校措置で遅れている授業に影響が出る恐れがある点などを挙げた。

 夏の甲子園と地方大会が中止となり、各地域の高野連の中には独自の大会開催を模索する動きも見られる。それだけに全国で初めて代替大会の中止を決めた同県高野連に対する風当たりはどうしても強い。高校球界関係者は「さまざまな事情が絡んだ末、苦渋の決断に至ったという流れは分からなくもないが」と前置きしながらも、こんな不安を募らせている。

「福岡は北と南のブロックに分かれても約70校ずつ、合計140近いチームがしのぎを削る。それだけの学校数があれば大会運営に相当数の人員を集めなければならず、使用する球場の確保も数多く必要になる。それはかなり難しいことかもしれない。でも、どうにか知恵を振り絞ってほしかった。正直に言わせてもらえば、全国の3年生部員の救済措置に多くの大人たちが一生懸命に頭をひねらせていたところで、この決定は水を差すような流れにつながりかねない」

 福岡の中止決定が、他の“マンモス地域”にも波及してしまうのではないか。そんな懸念が今、高校球界関係者あるいは現場指導者たちの間で広がっている。実際に「どうも神奈川(県高野連)は水面下で球場使用の許可が下りず、独自大会の開催調整にかなり難航しているもようだ。関係者の間では『中止濃厚』とみられている」との情報も飛び交っている。

 せめて3年生部員に最後を飾る場だけでも、各高野連には用意してほしいところだが…。