東邦センバツVパレードめぐり名古屋のドン・河村市長と高野連バトル

2019年04月05日 11時00分

仲間に胴上げされ笑顔の石川

 第91回選抜高校野球大会(甲子園)決勝が3日行われ、東邦(愛知)が習志野(千葉)を6―0で下して30年ぶりの大会制覇を果たした。平成最初と最後のセンバツを制するドラマチックなフィナーレを迎え、地元の名古屋も大熱狂。三塁側アルプス席で声援を送った河村たかし名古屋市長(70)は日本高校野球連盟(高野連)が禁止している「優勝パレード」の実施を強く訴え、ナインの偉業をたたえた。

 立役者は高校通算43本塁打で、プロ注目の石川(3年)だった。エース兼主将の大黒柱は打っては2発4打点、投げても3安打完封と大活躍。夫人からの臓器提供で昨年12月に腎臓移植手術を受け、今春復帰したばかりの森田監督に、センバツではいずれも最多の56勝目と5度目の優勝をプレゼントした。4日に還暦を迎えた指揮官は「本当にいいバースデーになった」と教え子たちに感謝。「新しい時代に向けて、これを励みに、この経験をもとに新しい時代も頑張りたい」と令和最初の夏王者も見据え、さらなる飛躍を誓った。

 東邦の優勝に始まり東邦の優勝で幕を下ろした平成の高校野球史。そんなドラマチックな終焉に“名古屋のドン”も黙ってはいなかった。国会議員時代から歯に衣着せぬ物言いでその名をとどろかせた名古屋市の河村たかし市長だ。アルプス席で優勝を見届け「名古屋の時代が来たがや!」と大喜び。今回の功績をたたえ功労賞などの表彰に前向きな姿勢を示し、本紙の直撃に「それよりも、ワシは優勝パレードを10月の『名古屋まつり』でやってもらうのが一番ええと思っとるんよ」と腹案を披露した。

 毎年200万人以上が訪れる名古屋最大の秋祭りでナインをたたえようという夢プラン。その意図について河村市長は「チャンピオンになることはええこと。本人たちもええ思い出になるし、名古屋人もみんな喜ぶ。受験勉強ばかりやらせとってもいかんのよ。みんなで拍手をしてたたえてあげることが子供たちの将来性を伸ばすんやから」と力説し“リベンジ”に燃えている。

 実は河村市長は初当選した2009年、夏の第91回選手権大会で中京大中京が優勝した際にこのアイデアを提案。だが、高野連側からNGが出され、実現には至らなかった経緯がある。

 なぜ「優勝パレード」が認められないのか。高野連の竹中雅彦事務局長(64)は「過去に横浜の愛甲猛選手がいた時に横浜がパレードをやって、一触即発の事態を招いたことがあった。それから防止する目的で禁止している。高校野球ですから派手な演出は(控える)というのもあります」と回答。「雑踏事故防止」と華やかなパレードが「高校生を英雄扱いし間違った心情を植え付けるのでないか」という従来の見解に基づき禁止事項であることを明確にした。

 この見解に対し、場外乱闘ぎみに反論したのが河村市長だった。「何を言うとるんよ。もっと活躍した人をみんなで拍手する時代、文化を作っていかんと。そういうことを事故のことでやめたらいかん。高野連は分かっとらんよ! 私が怒っていると書いといてください。次もダメって言われたら『何をやっているんだ!』と記者会見でしゃべるからええよ」とまくし立て、公の場で問題提起することを示唆した。

 こんな騒動を巻き起こしたのも、劇的すぎる東邦の優勝があったからこそ。この日、三塁側アルプス席で声援を送った東邦側応援席からは「市長もたまにはええこと言うなあ」と賛同の声も多く聞かれた。

 15年大会で敦賀気比(福井)が北陸勢初優勝を飾った際も、地元の敦賀市では市民から凱旋パレードや優勝記念セールを望む声が上がったが、高野連の見解に従う形で自粛している。果たして河村市長は“実力行使”で風穴をあけることができるのか――。