【朝井秀樹のおじゃまします】 もがき苦しんだ末のVだった。優勝マジックを2としていた巨人が26日のDeNA戦(横浜)に6―3で勝ち、広島が阪神に敗れたため3年連続36度目のリーグ優勝が決まった。主力選手に不振や故障が相次いだ今季を象徴していたのが、この日は「4番・捕手」でスタメン出場した主砲・阿部慎之助(35)だ。首痛の影響などもあり、不本意なシーズンを送ったGの主将に本紙評論家の朝井秀樹氏が独占インタビュー。優勝の喜びや今季の苦しみ、チームの強さの秘密、そして今後の巨人について――その胸中に迫った。(構成・堀江祥天)
――3年連続のリーグ優勝おめでとうございます! 今日は僕がインタビュアーを務めさせていただきます。よろしくお願いします!
阿部:ありがとう。朝井とは一緒に野球をやっていたけど、こうして話すのは不思議な気がするな。まあ、とりあえず正座を崩してくれよ。
――はい、キャプテン! いきなりですが、まずは率直に今シーズンを振り返っていただけますか
阿部:そうだな、個人的には一番苦しかった1年かな。成績はもちろん、体調もそうだし…。やっぱり成績の部分では、歯がゆい。歯がゆい、歯がゆい、歯がゆいって思っている間に、そのままきちゃったな、という感じだね。でも最近は、まあいいかなと思うようになった。自分の今後の野球人生において、こういう1年があってもいいんじゃないかなってさ。
――今季ほど、個人的に激しいバッシングにさらされたシーズンもなかったのでは
阿部:雑音には慣れているからさ(笑い)。一番給料もらっているし、仕方ない。「やって当たり前」だしね。でもそう見られているのは、やっぱり一番きつかったな。
――首を痛めたことや体調面が不振の原因と言われていましたが、実際はどうだったんですか
阿部:それを言い訳にはしたらいけないけど、確かに体はしんどかった。だけどキャンプの時に、打ち方が固定されていないというか、自分はこう打つんだというような型を持てていなかった。今考えると(不振の理由は)そこなのかな。自分がキャンプ中どういうフォームで打っていたのか、途中でわからなくなっちゃったんだよね。
最近ビールは飲まなくなった
――4月には26打席無安打という信じられないスランプもありました
阿部:最悪だったときは狙った球が初球に来ても、金縛りに遭ったみたいに手が出なかったときもあったね。調子が悪いときは狙いを絞って「それ以外は絶対振らない」って決めていくんだけど、狙い球にも手が出ない。俺が見逃して、たまにバットをポーンと落とすしぐさをするときがあるでしょ? あれは全部そういうとき。読みは合ってるんだよ。だから「なんで手が出ねえんだよ! これ待っていた球だろ?」っていう自分への怒りからなんだよね。
――阿部さんも来年は36歳。「年齢の問題」との厳しい声もあります
阿部:そりゃ俺も人間だから、体力は落ちていると思うよ。そことしっかり向き合っていかないといけないと教えられたシーズンだったかな。体調面って若いころは気にしないんだよね。ちょっとオフに休んで、キャンプになったらバリバリ元気で…。それで体が動くから。でも年々、疲れ方は変わってくる。俺、寝なきゃダメなタイプなんだけど、だんだん寝られなくなってきたんだよ。遠征先のナイターだったら、11時ごろに起きればいいやって思っても、9時ごろに起きちゃったり。そういう変化は感じてる。
――そういえば、最近はビールを飲まなくなりましたよね
阿部:うん、ビールはほとんど飲まなくなった。今はいきなり焼酎水割り。夜は米を食べなくなったりとか。それは気を使えばできることだから、やっていかないとね。
――ではチームの話に移りますが、阿部さんも含めて打順が固定されないことが、苦戦の原因じゃないかとも指摘されていましたよね
阿部:それは、一切ない。俺らのせい。監督のせいじゃなくて、俺らのせい。中軸を打つ選手は決まっているけど、その誰もが打てなくて、監督を悩ましちゃったんだよ。監督は周りから「なんで打順を固定しないのか」とか言われていたけど、選手は自分たちのせいだと思っていたよ。
監督に文句言うチームは弱い。だから巨人は常勝なんだ
――そういう精神がチーム全体に浸透しているから巨人は強いんですね
阿部:そう、だから常勝なんだよ。逆に監督がやることをいろいろ言うようなチームは、だから弱いんだ。監督が打順を変えることについても「当たり前」と思うか、それとも「なんだよ」と思うか。単純にそこの差だね。
――そのような話を今年、選手の前でしたことはあったんですか
阿部:あったよ、8月の決起集会でね。「みんな、この中で自分の成績に納得しているヤツいるか?」って聞いたの。そうしたら、誰もいない。「そうだよな。俺もそう。みんなもそう。だけど、俺たち首位にいるんだぜ」って話したんだよ。
――確かに、今年はずばぬけて好成績を残している選手はいませんね
阿部:そうだろ? みんなには「もし今年これで優勝できたら、みんなにとって一番価値がある優勝になる。『野球というのは勝つために何ができるのかをみんなで考えるスポーツなんだ』って、後輩や子供たちに教えられるぞ」って話をしたんだ。そのあとも俺は「どうしたら勝てるか」ってことを、(酔っ払って)ずっと熱弁していたらしいけど(笑い)。
――そうすると、阿部さんから見て、今年のMVPは…
阿部:いないんじゃない? みんなだね。“スモールベースボール”って言葉があるけど、今年の巨人はそのまんま。見た目は緻密じゃないかもしれないけど、中身は緻密。チームとしての力を出せたから、優勝できたんだと俺は思うよ。(後編へ続く)












