欧州帰りの20歳が、福岡で牙を磨く――。J1福岡のFW道脇豊は、ベルギーでの海外挑戦を経験し、4月22日のG大阪戦ではJ1初ゴールも記録した。高さだけでなく、背後への抜け出しやスピードも武器とする190センチの若きストライカーが、海外で得た成長と、日本代表への思いを語った。

取材に笑顔で答える道脇
取材に笑顔で答える道脇

 ――2024年7月にベルギー2部ベフェレンへ移籍したが、海外挑戦を決断した理由は

 道脇 U-17ワールドカップで世界のトップ選手たちと戦って、自分たちとの差を肌で感じた。このままでは本当にダメだと思ったし、日本代表を目指すなら海外選手と対等に戦えるフィジカルが必要だと思って決断した。

 ――ベルギーで苦労したことは

 道脇 初めての1人暮らしで、言語面や生活面は大変だった。スーパーで買い物したり、自炊したりも難しかった。でも、英語は少しずつ覚えて、コミュニケーションは取れるようになっていった。

 ――試合に絡めない時間も続いた

 道脇 焦りや悔しさはもちろんあった。ただ、ライバルだったレンナルト・メルテンス選手が得点王になるぐらいすごい選手で、一緒に練習できたことは自分にとってプラスだったと思う。「これがベルギーで活躍するストライカーなんだな」と感じた。

 ――福岡加入時に「自分を本気で変えるために決断した」と話していた

 道脇 最後の方はなかなか試合に絡めなくなって「このままで本当にいいのかな」と思うことが増えていった。代表でも危機感を感じる時期が続いて、日本に帰ってもう1回成長し直そうと思った。

 ――海外経験を経て変わった部分と、J1で感じることは

 道脇 技術やテクニックも大事だけど、やっぱりストライカーはメンタル面が一番大事だと思った。自分ももっと強くなりたい。自分がいたのはベルギー2部だったので、J1の方がレベルは高いと感じている。日本らしい戦術的な部分だったり、流動的なサッカー、止める蹴るの技術とか、そういううまさはJリーグの方が全然違うなと思う。

 ――途中出場が多い中で意識していることは

 道脇 試合ごとに役割は違うと思う。勝っている状況なら前線からの守備やプレスで引き締める役割があるし、負けている状況や引き分けなら、自分の得意な背後への抜け出しや裏抜けでゴールを奪える選手になりたい。

 ――4月22日のG大阪戦でJ1初ゴールを決めた

 道脇 前節の名古屋戦では決定機もPKも外して、自分の中では最悪の試合だった。その後のG大阪戦では「絶対に点を決めて勝たせたい」と思っていた。結果的に勝利につながるゴールになったし、自分を信じて使ってくれた塚原監督の期待に応えられて良かった。

 ――ゴールシーンを振り返ると

 道脇 ストライカーは、ゴールの匂いがする場所に誰よりも早く行くことが大事だと思う。ゴールがこぼれてきそうな場所に動いた結果、フリーで打てた。予測通りという感じでしたね。

練習中も笑みが絶えない道脇
練習中も笑みが絶えない道脇

 ――190センチの高さも武器

 道脇 日本人で190センチのFWはあまりいないと思うので、その高さを生かしたプレーはもっと力をつけていきたい。

 ――ストライカーとして大事にしていること

 道脇 ストライカーが点を取らないとチームは勝てないと思う。チームを勢いづけるのもストライカーの仕事だと思うので、責任は大きいけど、それをはねのけて得点を取り、チームを勝たせられる存在になりたい。

 ――2026年のU-23アジア杯では〝奇跡のPK〟も話題になった

 道脇 PK戦は本当に運が良かったというか、「持ってるな」と思いました(笑い)。こうやってクローズアップされるのはうれしいです。

 ――代表での経験は現在にどうつながっている

 道脇 代表には同年代のトップ選手たちが集まるので、そういう選手たちと一緒にプレーできることは刺激になる。「これぐらいやれるんだぞ」と、お互い高め合える存在だと思う。

 ――刺激を受けている選手は

 道脇 後藤啓介(ベルギー・シント=トロイデン)や塩貝健人(ドイツ・ボルフスブルク)ですね。同じストライカーで同年代なので「負けてられないな」と思う。

 ――試合前のルーティンは

 道脇 自分がゴールを決めているシーンを、いろんなパターンでイメージしている。シュートを打った足の感覚とか、ゴールネットが揺れる音とか、細かいところまで。

 ――オフの過ごし方は

 道脇 買い物が好きで、天神に行ったりします。服とかエルメスのアクセサリーを見たり、買ったりするのが好きですね。

 ――チームメートとは

 道脇 同年代の岡(哲平)、重見(柾斗)、小畑(裕馬)、碓井(聖生)とかと仲がいいです。一緒に焼き肉を食べに行ったりします。

 ――今季と将来の目標は

 道脇 もっと得点を取ってチームに貢献したい。将来的にはヨーロッパで誰よりも活躍できるストライカーになって、日本代表に入りたい。

 ――サポーターへメッセージを

 道脇 応援は本当に力になっていますし、これからも一緒に戦ってください。

アビスパの「A」ポーズを取る道脇
アビスパの「A」ポーズを取る道脇

 ☆みちわき・ゆたか 2006年4月5日生まれ。熊本市出身。FW。190センチ、77キロ。ロアッソ熊本ジュニアユースを経て、22年にクラブ史上初の飛び級でロアッソ熊本とプロ契約。23年2月のJ2栃木戦でプロデビューを果たした。24年7月にベルギー2部ベフェレンへ期限付き移籍し、26年にアビスパ福岡へ完全移籍した。背番号27。