25日に69歳で死去した女優の島田陽子さんは数多くの作品に出演し、公私にわたる波乱の人生だった。大腸がんを患い闘病中の今年2月、都内で作家の大下英治氏の取材に、隠されていたエピソードを赤裸々に答えていた。生前“最後のインタビュー”をお送りする。
国際派女優として活躍した島田陽子さんに、本紙連載「剛の高倉健 柔の鶴田浩二」の取材で、今年2月4日にインタビューした。とても68歳には見えず、ましてや大腸がんと闘っているという雰囲気もなく、相変わらず品の良い美しさが匂っていた。
近く革命家チェ・ゲバラのドキュメンタリーの撮影でキューバに行くと意欲満々で語り、てっきり今は暑いキューバで撮影中と思っていた。
島田さんが鶴田浩二と共演することになったのは、昭和54年に公開された「黄金の犬」だった。主演の鶴田は、警視庁の刑事である安高則行役を演じ、島田さんは映画の鍵を握る、犬のゴロの飼い主の妻である北守礼子役を演じている。
映画では、島田さん演じる礼子が、地井武男演じる殺し屋の田沼良一に、船の中で縛りつけられて、シミーズ姿でいたぶられるナマナマしいシーンまであった。
島田さんが「黄金の犬」に出演した経緯について語った。
「当時のわたしは、デビューしてからずっと、どちらかと言えば、優等生とか、清廉潔白な役ばかりを演じていました。それで人気が出たから良かったのですが、いっぽうで『清純派で色気がない』とも言われてました。やっぱり女優としてある程度の経歴を積むと、艶っぽい大人びた役柄も演じるべき、という声があったんです。わたし自身、芸域が広いとは思っていませんでしたが、いつも同じことばかり言われていたので、そういうコンプレックスがありました」
同時期に活躍していた松坂慶子や田中裕子らを意識していたといい、「松坂さんや田中さんは脱ぐシーンもある大人の女性の役をやられていましたが、わたしは相変わらず清純派の役ばかり。そういうことに対して、自分のなかで焦りもあって、当時の事務所からも『一肌脱がなきゃダメなんじゃないか』なんて言われたりしていて、そこにたまたま西村寿行さんの『黄金の犬』の話が来た。わたしは『これはできない』と思ったんですけれど、結局、事務所が受けてしまった。二度も半裸で犯されるのに近いシーンもあって、自分としては、脱優等生を目指して頑張りましたが、気も重かったし、現場も合いませんでした。『受けた以上はやるしかない』という気持ちでした」
島田さんは鶴田との共演は初めてだったという。
「鶴田さんは、女性に優しい方なので、非常にやりやすかったですよ。威張ったりすることもなく、親切にしていただきました。わたしからしたら、鶴田さんは年の離れた大スターであり、大先輩ですから、礼儀正しく、距離をもって接していました。ただし、すごく女性が好きな感じがしました」
島田さんは、実は、鶴田に言い寄られることもあったという。
「ちょっと言いづらいことですが、一度だけ地方ロケのホテルで、鶴田さんの部屋でみんなで飲んだときに、最初は10人ほどいたけれど、他の方たちが1人ずつ帰っていって、最後にわたしと鶴田さんの2人だけになっちゃったことがありました。なんだか前もって計画されたようで、ちょっと危ない目にあいました。『申し訳ないですけど…』と帰ったんですが、その時に鶴田さんは『僕は今までで一番惚れたのは岸惠子だ。それで2番目は、君だ』と甘いことを言っていました。もちろん、そんなの嘘に決まっていますが、そのくらい岸惠子さんが好きだったみたいですね」











