ドラディション6日の後楽園大会で、〝炎の飛龍〟藤波辰爾(72)と新日本プロレスのNEVER無差別級王者ウルフアロン(30)の初対決が実現した。タッグ戦で勝利を収めた藤波は、42歳年下で約54年半のキャリア差があるスーパールーキーの才能に太鼓判。プロレス界でも〝金メダリスト〟になれると断言すると同時に、さらに成長するための金言を送った。

 藤波は「デビュー55周年記念試合」でザック・セイバーJr.とタッグを結成し、ウルフ&松本達哉と対戦した。一度は巴投げで切り返されたものの、代名詞のドラゴンスクリューを発射。最後は藤波がウルフをドラゴンスリーパーで捕らえる間に、ザックが松本を変型卍固めで仕留め勝利を収めた。

 大会後に取材に応じた藤波は「まだまだ、あんなものじゃないでしょう。彼がザックとやり合う中で、俺も本来であればあの中に入って絡みたかったんだけど」と自身のコンディションに納得がいかなかったのか、消化不良な様子。それでも「組んだ時の感覚がすごい。持ってる感性が違うね」とウルフを絶賛した。

 日本人の五輪金メダリストとして初となるプロレス転向を果たし、デビュー戦の1月4日東京ドーム大会でいきなりNEVER王座を奪取したスーパールーキーには業界全体から大きな期待が寄せられている。藤波も「ウルフにないものを小川(直也=バルセロナ五輪柔道銀メダル)は持っていたし、(ウィリエム)ルスカ(ミュンヘン五輪柔道金メダル)もすごいものを持っていた。でも、彼らにないものをウルフは出しているし、現役バリバリの選手とスイングしている。まだ荒々しい部分はあるけど、伸びしろもある」とプロレス適性にお墨付きを与えた。

藤波辰爾(左)の足4の字を耐え抜いたウルフアロン
藤波辰爾(左)の足4の字を耐え抜いたウルフアロン

 プロレス界の金メダルといえば新日本のIWGPヘビー級王座(現王者は辻陽太)だが「今のまま行ったら、そんなに差はないでしょう。良い戦いをしているし、来年にも夢じゃないと思うよ」と断言。中邑真輔(現WWE)が保持するデビューから約1年4か月での業界最高峰王座奪取という日本人最速記録の更新にも期待を寄せた。

 その一方で今後の課題についても言及。「今の新日本はいい選手が揃ってる。これはウルフに限らずだけど、巡業で組まれる試合を当たり前だと思ってこなしてはダメ。1試合1試合がスペシャルマッチだという思いを持って、表に出していかないと。(アントニオ)猪木さんは一歩控室を出た瞬間から試合が始まっていたから。その意識も持った方がいいですね」とアドバイスを送った。

 その思いは届いていたのか、試合後のウルフは藤波戦を通じて「入場前から試合が終わるまで、張り詰めた気持ちを持っていないといけないというところを学びましたね。それがおそらく新日本プロレスの『闘魂』につながっているんじゃないか」と収穫を口にしていた。

 世界中のどの競技を見渡しても異色すぎる〝キャリア54年半差〟の戦いは、プロレス界にどんな未来をもたらすのか――。