どん底からの脱出劇は、まさかの電撃移籍で幕を開けた。巨人・甲斐拓也捕手(33)が30日、楽天へ金銭トレードで移籍することが両球団から発表された。折しもこの日は松井新監督が秋季キャンプで新体制を始動させた初日。ゴジラ巨人が新たな一歩を踏み出す日に、苦境にあえいだ「甲斐キャノン」にも再起への道が開けた。
2024年オフ、ソフトバンクから5年総額15億円(金額は推定)の大型契約でFA移籍。だが、加入2年目の今季はオープン戦から結果を残せず、10年ぶりに開幕を二軍で迎えた。一軍昇格後には2本の決勝本塁打で意地を見せたが、13試合で打率1割、2本塁打、2打点。かつて常勝ソフトバンクの扇の要を担った男には、あまりに厳しい現実だった。
その苦闘を象徴するのが、5月31日のファーム・阪神戦(Gタウン、巨人が2―0で勝利)だ。送球時に右肩に違和感を覚え、6回の守備で交代。プロ16年目にして初めて経験する異変に直面した。「初めてのことだったし、あんまり(コンディションが)よくなかった」。肩周辺のトレーニングを強化し、田口二軍バッテリーコーチの支えもあって大事には至らず、程なく先発復帰を果たしたものの、苦難のシーズンは続いた。
そして、このタイミングで突然の移籍決定。甲斐は「びっくりというところもある」と驚きを隠さなかった。それでも「僕自身、勝ちに飢えてるところがある。求められてるものをしっかりできるようにしていきたい」と前を向く。来季はプロ17年目。2年ぶりに戻るパ・リーグ、そして杜の都・仙台で再び強肩をとどろかせることができるか。崖っぷちのベテランが、復活を懸けた勝負に挑む。












