王者は主役が欠けてもむしろ若返り、今や別のチームへと変貌を遂げている。
ドジャースは大谷翔平投手(32)が左ヒザと右上腕の痛みで日間の負傷者リスト(IL)入りし、フレディ・フリーマン内野手(37)も右膝の腱炎を抱える非常事態。それでも9月は開幕2連敗の後に今季最長の8連勝を飾るなど、主力の故障禍とは裏腹に8勝4敗と白星を重ねている。その空気をさらに換え始めたのが、大谷に代わって2Aタルサから昇格したホスウェイ・デパウラ外野手(21)だ。
13日(日本時間14日)のマーリンズ戦(マイアミ)では4回、相手先発の98マイル(約158キロ)の速球を右翼2階席へ運ぶ約127メートルの先制1号3ラン。メジャー3試合目で飛び出した初安打が、初本塁打となった。
直後には胸を激しくたたき、ベンチへ感情を爆発させるように喜びを表現。仲間も総出で21歳の〝末っ子〟を祝福した。右中間フェンス直撃の二塁打も放ち、2安打と存在感を示した。ドジャースは終盤に逆転され、4―6でサヨナラ負けとなったが、デパウラの輝きは敗戦でも色あせなかった。
米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下の「ジ・アスレチック」によれば、クラブハウスでも早くも〝化学反応〟が起きている。テオスカー・ヘルナンデスがすでに指導役となり、ロハスやベッツも、そのプレーや姿勢に感銘を受けているという。
ロバーツ監督も、ベテランの多いチームにデパウラの若々しい熱意が好影響を与えていると評価。本人も全員が温かく受け入れてくれ「ありのままの自分でいられる」と口にし、環境に感謝している。わずか3試合で最年少のムードメーカーにまでなりつつある。
フリーマンは9月に入って打撃が低調で、守備でも本来の動きを欠く場面が目立つ。複数箇所のコンディション悪化により、満身創痍の大谷も離脱中。それでもドジャースは崩れず、そこへ怖いもの知らずの21歳が加わった。当初のところポストシーズンでは構想外だったデパウラだが、8月31日(同9月1日)時点で球団傘下にいたため、IL選手の代替として申請・承認されれば、制度上はポストシーズンのロースター入りが可能だ。実際に同メディアは、その豪快なスイングを見れば「計画変更を迫られる可能性が十分ある」と指摘している。
大谷とフリーマンの状態ばかりに目を奪われていると、相手は足をすくわれかねない。スターの穴を埋めるだけではない。計算になかったチームの有力株がベンチまで活性化させる〝ニュー・ドジャース〟は、10月の相手にとってむしろ厄介な存在になりつつある。












