怪物は〝迷宮〟にはまり込んでしまっているのか。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は25日(現地時間)、昨季のナ・リーグ・サイ・ヤング賞に輝いたパイレーツのポール・スキーンズ投手(24)の不振をあらためて検証し「まだ何かがおかしい」と新たな問題を提起した。
スキーンズは後半戦6試合で防御率5・28、WHIP1・57。19日(日本時間20日)のタイガース戦(PNCパーク)でも登板を3日後ろ倒しにされ、通常より長い休養を挟みながら、4回1/3を4安打3失点、4四球。復調への決定打は見つからなかった。
同誌のシニアライター、トム・ベルドゥッチ氏が注目したのは投球フォームだ。スキーンズは不振脱出を狙い、6、7月にクロスファイアを弱めて本塁方向へ真っすぐ踏み出す形へ変更。ところが、直近では再び従来のクロスファイアに戻し、19日の水平リリースポイントは2試合前より9・5インチ(約24センチ)も三塁側へ移動した。キャリアで最もオフセットが小さい位置から、一転して2番目に大きい位置まで振れたという異例の変化だ。
それでも肝心の球威は戻らない。速球は前回登板から1・1マイル(約1・8キロ)上がったが、その前が自己最低の95・7マイル(約154キロ)だったため、ベルドゥッチ氏は「改善と見るのは早い」と分析。2024年は速球平均98・8マイル(約159キロ)、昨季は98・2マイル(約158キロ)だったのに対し、今季直近2試合は96・4マイル(約155キロ)まで落ちた。2ストライク時も99・1マイル(約160キロ)だった24年から、直近2試合は96・6マイル(約155キロ)。勝負球の出力まで明確に落ち込んでいる。
衝撃的なのは「99マイル(約159キロ)以上」の激減だ。2024、25年は計627球、1試合平均11球を記録したが、今季は年間でわずか3球。同誌はスキーンズの速球について、縦変化量とスピンが平均以下で、打者を圧倒するには独特の横角度とエリート級の球速が不可欠と指摘する。MLB全体でも今季、96マイル(約154キロ)のフォーシームは被長打率0・408、98マイル(約158キロ)では0・333。たった2マイルの差が、結果を大きく左右している。
フォームを戻しても、休養を増やしても、消えた「爆発力」は帰ってこない。昨季の最強投手を襲う異変は、単なる一時的不調では片づけにくい段階へ入っている。












