NYのプリンス引退後の〝聖域〟に、ついに本命が現れた。

 ヤンキースは20日(日本時間21日)、敵地ボルチモアでオリオールズに6―1で快勝し4連勝。72勝55敗でア・リーグ東地区2位につけ、首位レイズとは4ゲーム差。一時は大きく水をあけられながら、ワイルドカードでは1位を走り、10月決戦へ踏みとどまっている。そんな勝負どころで、長年の懸案だった〝ジーター後継者問題〟にも答えが見え始めた。

 米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は21日(現地時間)の記事で、ヤンキースのジョージ・ロンバード・ジュニア内野手(21)を特集。4日(同5日)にメジャーデビューしたばかりだが、出場14試合で守備防御点(DRS)は早くも「7」。遊撃手ではムーキー・ベッツ(ドジャース)、ボビー・ウィット(ロイヤルズ)らと並ぶ堂々の5位タイに名を連ねている。

 象徴的だったのが18日(同19日)のオリオールズ戦。内野の穴を抜けそうなゴロに追いつき、体勢を崩しながら一塁へ矢のような送球を決めた。マウンド上のカルロス・ロドンは思わず「お前はすごい野郎だな」。ジャズ・チザム・ジュニアも「21歳なのに、遊撃手としてベテランのようにプレーしている」と舌を巻いた。

 ヤンキースのレジェンドOBでプリンスこと、デレク・ジーター氏(52)が2014年限りで引退して以降、名門は「次の顔」を探し続けてきた。ディディ・グレゴリウス内野手は5年間そつなく穴を埋めたが退団。グレイバー・トーレス内野手は守備難で遊撃の定位置を失い、アイザイア・カイナー=ファレファ内野手はつなぎ役にとどまった。

 オズワルド・ペラザと内野手の競争を制したアンソニー・ボルピ内野手も、25年は打率2割1分2厘、19本塁打に加え守備指標OAAがマイナス6。左肩手術を経た今季はリハビリ終了後に3Aへ回され、ホセ・カバレロ内野手(29)に定位置を譲った。4日のロンバード昇格と同時に、ボルピは再び3Aへオプション降格となった。

 その迷走に終止符を打ち得るのが、ロンバードだ。23年ドラフト1巡目。高校時代はサッカーでも州王者となり、培った俊敏なフットワークと強肩が武器。ブーン監督はゴロへの反応を「ピューマ」に例え、フィオリト内野コーチも「今後何年も素晴らしい守備選手になる」と断言した。

 本人も「すべてのボールを奪い取る攻撃的な姿勢こそ、自分のプレースタイルだ」と胸を張る。背番号96の21歳が、このまま〝2番の亡霊〟まで追い払うのか。ヤンキースが長く探し続けた答えは、もう目の前にいるのかもしれない。