大勝しても、スポットライトを奪ったのは野球の常識を一瞬疑わせる〝珍走塁〟だった。エンゼルスは20日(日本時間21日)、敵地ダイキン・パークでアストロズに18―3で大勝し、同地区ライバルとの3連戦に勝ち越した。ところが、試合後に話題をさらったのは大量18得点そのものではなく、2回一死三塁に生まれた何とも奇妙なプレーだった。
三走のジョシュ・ロウ外野手(28)が本塁を狙った場面で、アダム・フレイジャー内野手(34)が内野へ転がした打球をアストロズ側が処理。フレイジャーは一塁へ向かう際、ファウルラインより内側の芝生を走り、本塁送球の視界を遮るような形になった。ロウは本塁でいったんアウトと判定されたが、リプレー検証で覆りセーフ。SNSでは「これって合法なのか」と驚きの声が上がった。
米メディア「カレッジ・スポーツ・ネットワーク」は21日、この〝とんでもない走塁〟をクローズアップ。皮肉なのは、こうした珍プレーが大きな注目を浴びる一方で、チームのシーズンそのものはすでに笑えない状況にあることだ。
この日はザック・ネト内野手(25)が6打数5安打、1本塁打、7打点と爆発し、打線は18安打18得点。MLB公式サイトによれば、球宴後はこの試合前まで30試合中20試合で3得点以下に封じられていただけに、まるで別チームのような猛攻だった。敵地でのカード勝ち越しも5月下旬以来、約3カ月ぶりとなった。
しかし、これでシーズン成績は51勝77敗。勝率5割を16ゲームも下回り、ア・リーグ西地区首位のアストロズとは13ゲーム差。ワイルドカード圏にも大きく水をあけられている。直近10試合こそ6勝4敗と持ち直しているものの、ポストシーズン争いから大きく置き去りにされた現実は変わらない。
今夏のトレード期限でも選手を動かしながら、浮上の気配は乏しい。18点を奪って首位球団に勝ち越しても、1勝で帳消しにできる借金ではない。むしろ「なぜこの戦いをもっと早くできなかったのか」というやるせなさが残る。この状況では、ファンや周囲に苛立ちが残るのも無理はない。
勝った日の主役が、順位争いではなく〝合法かどうか〟で沸いた珍走塁――。それこそが、今季のエンゼルスの立ち位置を最も皮肉に映し出している。












