「盟主」の看板を奪われた屈辱が、世界一を知る男の口から噴き出した。ヤンキースで特別補佐を務める元外野手ニック・スウィッシャー氏(45)が、今やMLBの頂点に君臨するドジャースへの複雑な胸中をぶちまけた。
米メディア「ヘビー」が20日(日本時間21日)に同氏の手厳しい発言に焦点を当てており「今や倒すべき相手はドジャースだ」と認めた上で「以前はわれわれが倒すべき相手だった。それが今はドジャースなのが本当に腹立たしい。潮目が変わってしまった」と嘆いた。
その言葉が重いのは、スウィッシャー氏がヤンキース最後の世界一を肌で知る人物だからだ。2009年から4年間在籍し、同年はレギュラーとしてワールドシリーズ制覇に貢献。シリーズMVPに輝いた元外野手の松井秀喜氏(52)とも同じユニホームで歓喜を味わった。現役引退後は古巣のフロント入りし、今も名門復活を支える立場にいる。
かつてのヤンキースは、豊富な資金力でスターを集め、勝つことを宿命づけられた球界の象徴だった。ところが、その〝青写真〟をより大規模に進化させたのが現在のドジャースだ。17年以降だけで5度ワールドシリーズに進出し、3度制覇。大谷翔平投手(32)らMVP級のスターを抱えながら大型補強を重ね、「スーパーチーム」と呼ぶにふさわしい陣容を築き上げた。
一方のヤンキースは今季、主将ジャッジが約3か月離脱しながらも、記事ではポストシーズン進出確率99・7%、ア・リーグ優勝の最有力候補とされている。決して今季そのものが低迷しているわけではない。それでも最後の世界一は09年。17年間も頂点から遠ざかり、王座の空白はすでに一世代に及ぼうとしている。〝倒すべきヤンキース〟という絶対的なブランドまで西海岸の宿敵に奪われたことこそ、スウィッシャー氏が感じる没落の正体なのだ。
「俺たちはあの栄光の地に戻る必要がある」。今季の投手陣には手応えを示し、10月への期待も隠さない。だが、ドジャースを見て「腹立たしい」とまで言わせる現実は、名門の現在地を何より雄弁に物語る。松井氏とともに最後の頂点を知る男のイラ立ちは、ヤンキースが再び〝追われる側〟へ戻れるのかを突きつける、痛烈なゲキでもある。












