強いチームは、1ドルの使い方まで抜け目がない。ブレーブスは13日(現地時間)、本拠地でメッツに6―3で勝って2連勝。73勝48敗でナ・リーグ東地区首位を走り、2位フィリーズに9ゲーム差をつけている。

 そんな好調球団が、グラウンド外でも異例の〝節約術〟で球界をザワつかせている。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は14日、ブレーブスが2026年ドラフトの8~10巡目で指名した3選手と、契約金わずか500ドル(約8万円)で合意した内幕を報じた。

 対象は8巡目のジェイコブ・ジャレル捕手(23)、9巡目のパーカー・ブロシアス外野手(22)、10巡目のベン・ジーグラー=ナモア内野手(23)。3人はいずれも大学での競技資格を使い切った「シニア選手」で、交渉力が限られる立場だった。3人への契約金は合計1500ドル(約24万円)。MLB公式サイトによれば、各指名順位の平均基準額との差額は合計65万3300ドル(約1億0400万円)にも上った。

 浮かせた資金は、より優先度の高い指名選手へ投入された。ブレーブスの今季ドラフトのボーナスプールは1587万0800ドル(約25億2300万円)。限られた枠の中で、安く契約できる選手から徹底して原資を捻出し、本命には規定額を超える契約金を積む。まさに〝選択と集中〟だ。目先の出費を削るためではなく、限られた枠を最大化するための〝攻めの節約〟というわけだ。

 ライバル球団のスカウト部長は「業界に衝撃を与えた」と証言。複数の球団が近年、指名順位の基準額を大幅に下回る契約を結んだ例はあるものの、上位10巡目までで500ドルという金額は極めて異例だという。球団側はこの手法を「企業秘密」として、詳しい説明を避けた。

 もっとも、これはメジャー選手の総年俸を削減した話ではない。ドラフトの契約金総額を巧みにやりくりし、必要な素材へ資金を再配分したものだ。大学シニアの弱い交渉力を利用する手法には代理人側から疑問の声も出ているが、ルール違反ではない。

 勝って、育てて、金も使い切らない。今季のブレーブスが強い理由は、スコアボードの数字だけでは測れそうにない。