パ首位を独走するソフトバンクは、11日のロッテ戦(みずほペイペイ)に16―2で快勝。貯金を今季最多の29に更新し、マジックを「32」に減らして優勝にまた一歩前進した。

 今季初登板となったリバン・モイネロ投手(30)が6回4安打、無四球、5奪三振、無失点の快投で白星を手にした。今春WBCから帰還後、想定よりも戦列復帰が遅れていた絶対エース。鷹に忠誠を誓い、入団以来フル回転してきた左腕ゆえの代償を乗り越え、ようやく一軍の舞台に戻ってきた。

 最速152キロを計測し、宝刀カーブも冴えて二塁すら踏ませなかった。試合後は「まだ自分の状態が100%じゃない。状態を上げていくためには一軍で投げていかないといけない。100%じゃない分、変な感じはあった」と明かし、格の違いを見せつけた。試合はエースの帰還を祝うように、味方打線が大量援護。先発全員安打の16安打、16得点で大勝した。

「かなり長かった」。8月までずれ込んだ戦列復帰にもどかしさがにじんだ。21歳で来日し、育成入団から1か月後には支配下登録を勝ち取り、そこから馬車馬のように働いてきた。中継ぎで7シーズン306試合に投げ、2024年から先発転向して2年連続で最優秀防御率のタイトルを獲得した。

 昨季は疲労困憊の様子を周囲に見せることなくポストシーズンで中4日登板をこなし、シーズンMVPにも輝いた。「疲れない人なんていないよ」。WBCを挟む26年シーズンに、誰よりも神経をとがらせていた。

 キューバに帰国後は体調が整わないこともあり、調整が思うように進まなかった。母国の英雄として臨むWBCを前に焦りも募ったはずだ。急ピッチで「形」をつくり、WBC1次ラウンドでは異例とも言える中4日登板。これだけフル稼働すれば、その代償は当然ながら計り知れなかった。チーム合流後は立ち上げに苦労し、上半身の不調にも悩まされ、この日を前にチーム内では「投げてみないと分からない」という声もなかったわけではない。

 自らを発掘した担当スカウトへの恩返しを誓って来日し、ホークスに忠誠を誓ってきた左腕。モイネロでなければ、8月の帰還さえ難しかったかもしれない。文句一つ言わず激務をこなしてきた功労者の再起。鷹のVロードがさらに加速しそうだ。