森保ジャパンが掲げた「W杯優勝」の目標は“運”にも見放されてついえた。北中米W杯1次リーグ最終戦スウェーデン戦(6月25日、米国・ダラス)では、エルサルバドルのイバン・バートン主審がMF中村敬斗(25=スタッド・ランス)の短いソックスに対し、突如クレームをつけて物議を醸した。さらに決勝トーナメント(T)1回戦ブラジル戦(同29日、米国・ヒューストン)では、日本の失点につながる“大誤審”も発生。審判にも泣かされる大会となった。
スウェーデン戦では審判の存在が試合の行方を大きく左右した。
中村はけいれん対策で普段から短いソックスを使用。W杯でもそれまでの試合や、当日の試合前も問題とされていなかった。しかし試合が始まると、バートン主審が突如として注意を連発。まず前半8分にソックスを上げるように指示すると、後半11分に日本がMF前田大然(セルティック)のゴールで先制した直後に、今度はソックスをわざわざはき替えるよう命じた。
異例の指示により中村は一時退場を強いられ、日本は数分間にわたって数的不利に陥った。すると攻勢だった流れが一変。同17分にスウェーデンのFWアントニー・エランガ(ニューカッスル)に同点ゴールを許した。
この一連の経緯は、国内外で大論争に発展。ウクライナメディア「トリビューナ」は、異例の事態として検証記事を掲載。「中村はソックスの不具合を理由に主審のバートンから退場を命じられ、物議を醸した。試合の重要な局面で日本の勢いをそぐことになった」と疑問を呈した。
さらに「試合開始前に問題視されることはなかった。しかし主審はプレー中に介入し、日本は一時的に10人でのプレーを強いられた。この中断は日本のリズムに影響を与え、数的劣勢の間、守備の態勢を立て直すのに苦労していた。スウェーデンはその後すぐにチャンスをものにした」と説明。バートン主審の不可解な行動に疑惑の目を向けた。
日本が流れを維持して大量点で勝利していれば、組首位で突破して決勝T1回戦の相手も変わった可能性がある。まさに痛恨事だった。敗退後に中村はこの件を振り返り「ソックスはストレスでした。めちゃくちゃ正直…」と本音を吐露。精神的な負担が生まれ、その後のブラジル戦でのプレーにも影響が出た可能性は否定できない。
そしてブラジルとの決戦では“世紀の大誤審”が飛び出した。
日本は1―0で迎えた後半11分に同点を許したが、その直前の場面。左サイドを攻め上がった中村が中央へ折り返す。これがDFダニーロの頭に当たって明らかに弾道が変わってラインを割ったが、イタリアのマウリツィオ・マリアーニ主審の判定はなんと相手のゴールキック。あまりにも理不尽な判定に、NHK・BSで解説を務めたMF本田圭佑(ジュロン)も「審判、貸しやぞ!」と怒りをあらわにするほどだった。そして再開後の2プレー目でブラジルのMFカゼミロ(マンチェスター・ユナイテッド)に同点弾を決められた。
今大会からビデオアシスタントレフェリー(VAR)は「誤って与えられたCK」も運用対象となったが、その逆にあたる「誤って与えられたゴールキック」は対象とならず。VARがない時代と同様に誤審がそのまま見逃される格好となった。
森保ジャパンの躍進を阻んだ“審判禍”。対策はできないが、サッカー界全体として判定技術の向上を目指し検証が求められそうだ。












