7月17日に会期末が迫る国会では延長論が出始めている。高市早苗首相陣営の関与が疑われる暗号資産「SANAE TOKEN(サナエトークン)」や誹謗中傷動画作成、拡散を野党が追及中で膠着状態に陥っているが、〝爆弾投下〟が回避され、高市首相は重要法案成立のために会期延長で強気の対応に出る可能性が出てきた。

 高市首相の秘書とサナエトークンの発行や誹謗中傷動画の作成に関与したと告白しているneu社の松井健氏との関係を巡って、高市首相の答弁に整合性が取れていないことで国会は紛糾。高市首相が秘書の陳述書提出を願い出たことで、野党側はさらに反発し、7月に予算委員会での集中審議と党首討論の開催を要求し、応じない場合は審議日程の協議を拒否している。

 今国会で与党が成立させたいのは衆院の議員定数削減法案、副首都構想関連法案、皇室典範改正案などで、会期末まで3週間を切った中で、野党が審議拒否しており、先行きが見通せない状況になっている。自民党の鈴木俊一幹事長は会期延長を否定していたが、高市首相が会期の60日間延長を党幹部に打診したと一部で報じられた。

 会期を延長した場合は参院で審議拒否となっても衆院で与党が3分の2以上を占めているために再可決でき、重要法案も成立する。「3分の2ルールを使うために会期を延長すれば、野党は反発しますし、『数の横暴』と世論からの批判も免れないが、押し切れるとの判断がついたのかが見もの」(野党関係者)

 高市首相の弁慶の泣き所は秘書関与疑惑だが、追い風も吹いている。実業家の三崎優太氏と溝口勇児氏の対立騒動で、新たな〝三崎砲〟が発射されなかったことだ。三崎氏はサナエトークン騒動直後に溝口氏が松井氏側に対応を求める内部音声を公開し、さらなる爆弾証拠をちらつかせていた。ところが、26日の生配信では自身と溝口氏が対立した経緯の暴露にとどまり、松井氏絡みの告発や証拠の提示はなかった。野党側は肩透かしを食らった。

 現時点では松井氏の証言の信ぴょう性に改めて疑義が残る状況となり、高市首相は従来の主張を繰り返せば、審議拒否する野党の横暴さを逆に際立たせる構図に持ち込める計算が働いているとみられる。もっとも三崎氏と溝口氏の対立が過熱し、不発とみられた〝三崎砲〟がこれから火を吹く可能性もある。流動的な情勢の中で、終盤国会は与野党のにらみ合いとなる。