王者の補強網は、デトロイトのエースだけに張られているわけではない。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は25日(日本時間26日)までに、ドジャースが8月3日(同4日)のトレード期限を前に、タイガースのケンリー・ジャンセン投手(38)の獲得に動く可能性を報じた。最大の標的とみられてきた同じタイガースのタリク・スクバル投手(29)に加え、かつての絶対的守護神を呼び戻す〝二段構え〟のプランが水面下で浮上しているという。実際に地元紙「カリフォルニア・ポスト」のジャック・ハリス氏、ディラン・ヘルナンデス氏も、ジャンセンが安価な掘り出し物になり得るとの見方を示している。

 ジャンセンは2010年にドジャースでメジャーデビューし、21年シーズン後に退団するまで勝ちパターンの中心を担った。ブレーブス、レッドソックス、エンゼルスを経て今季はタイガースでプレー。シーズン序盤は不安定さも見せたが、同メディアは直近10回2/3で2失点、13奪三振と復調気配を示している点に注目した。今季成績は防御率4・00、13度のセーブ機会で9セーブ。代名詞のカッターは被打率1割5分2厘に抑えており、短期決戦をにらむドジャースにとって終盤の選択肢を増やす存在になり得る。

 ドジャースは今季も戦力層の厚さを誇る一方、3連覇を狙うポストシーズンを見据えれば、救援陣の上積みは避けて通れない。大物先発のスクバル獲得となれば若手有望株を含む大型対価が必要になるが、ジャンセンは契約面でも比較的動きやすいとみられる。タイガース側にとっても、低迷が続けばベテランの契約を整理しつつ、エース売却と合わせて一気に再編へかじを切る選択肢が現実味を帯びる。

 注目すべきは、これが単なる懐古趣味の復帰案ではないことだ。ドジャースは情に流される球団ではなく、勝つために必要なら古巣の顔でも冷静に値踏みする。ジャンセンがブルペンに加われば、ロバーツ監督は9回固定に縛られず、相手打線や連戦状況に応じて終盤を組み替えられる。かつてロサンゼルスの歓声を背に腕を振った右腕が、再びドジャーブルーのユニホームで10月のマウンドに立つのか。スクバルだけでは終わらないタイガース包囲網が、王者の本気度を物語っている。