トランプ大統領とイランのペゼシュキアン大統領は17日、レバノンを含む「全ての戦線における軍事作戦の即時かつ恒久的な終結」を盛り込んだ14項目の覚書にリモートで正式署名し、共同署名式を行うことなく発効した。

 トランプ氏は、フランスでマクロン大統領の立ち会いのもと文書に署名し、そのスキャンデータがイランへ送られ、ペゼシュキアン氏が署名した。仲介国のパキスタンはホルムズ海峡の再開と海上封鎖の解除を発表。米イランは今後60日間でイランの核問題を含めての最終合意を目指すことになる。

 イランとの戦争前とその最中、米国は「イランの完全降伏」と核開発計画の完全解体、つまりウラン濃縮の停止、弾道ミサイルの放棄、代理勢力への資金提供の停止を求めていた。トランプ氏は、イランの最高指導者の選出にまで関与することを望んでいた。しかし、覚書では、米国はイランの石油輸出容認や凍結資産解除など、戦闘終結とホルムズ海峡開放を優先し、大幅に譲歩した形だ。

 米国事情通は「署名までイスラエルのネタニヤフ首相は、覚書の最終内容を閲覧できなかったそうです。イスラエルは、突然の停戦合意を大惨事と受け取っています。ネタニヤフ首相が最も懸念しているのは、レバノンの親イラン組織ヒズボラのことだったからです」と指摘する。

 覚書には、停戦がイスラエルとヒズボラとの戦闘も対象とし、最終合意が成立した場合にはイスラエル軍がレバノンから撤退することが明記されている。

 中東事情通は「米国との同盟国であるイスラエルの軍事行動が制限される一方、あくまでイランの代理勢力のヒズボラが〝勝手に〟イスラエルを攻撃する可能性はあります。そのため、米国とイスラエルの間に亀裂が入ったことになります。イラン指導部は、米国とイスラエルの分断を最大目標にしていたので、まずはイランの政治的勝利でしょう」と語る。

 ネタニヤフ氏は軍事圧力継続を望んでいたが、トランプ氏はイランとの合意を優先した。今後、イスラエルの不満が米イランの最終合意に影響を与えるかもしれない。