兵庫県警と神戸地検の不当逮捕と不当勾留により、16歳の娘がPTSDを発症し、衰弱死したとして、母親が17日、国と県を相手取り、約1億円の損害賠償を求め、神戸地裁に提訴した。

 会見した母親や代理人弁護士によれば、家族が経営する障害福祉事業所に勤務していた娘のAさんは、昨年2月に他の人にかみつこうとした利用者を止めた。その際に「アゴ付近を押さえつけられた」と利用者が自治体に申告し、同6月17日にAさんは暴行容疑で県警に逮捕された。勾留が2度延長され、取り調べが続く中、7月3日に倒れ、病院に救急搬送。翌日に不起訴処分で釈放された。

 接見禁止処分が付され、母親も会えなかったなか、Aさんは摂食障害に陥り、PTSDと診断された。体重は減少の一途をたどり、低栄養による「るい痩(そう)」で、同12月14日に亡くなった。体重は約20キロしかなく、逮捕前と比べて半減していたという。

 Aさんはノートに取り調べの様子を書き記しており、捜査員から「本当はやったんだろう。正直に言え」と自白を迫られたことを訴えていた。その後、元利用者はAさんから暴行されたとの申告が過度だったと告白。母親は「娘は釈放されてから一度もほほえむことがなかった」と涙ながらに訴えた。

 人質司法をめぐっては、大川原化工機の冤罪事件で司法当局の責任が問われたほか、KADOKAWAの角川歴彦元会長やつばさの党の黒川敦彦代表らも国賠訴訟で争っている。

 兵庫では斎藤県政を巡る混乱が続いており、元兵庫県議への名誉毀損で昨年11月に逮捕、起訴された立花孝志元参院議員の神戸拘置所での勾留が続き、くしくも物議を醸している最中だ。今回の提訴で司法当局の恣意的な運用と批判される人質司法が改めて注目を集めそうだ。