出版大手「KADOKAWA」の前会長を務めた角川歴彦氏が同社の夏野剛社長を16日、提訴した。同社は〝物言う株主〟からも夏野氏の取締役解任を求められており、泣きっ面にハチとなった。

 角川氏は東京五輪・パラリンピックをめぐり、2022年に贈賄罪で起訴され一審で有罪となるも無罪を主張し控訴していた。夏野氏を名誉毀損で提訴したのは、同社が社内調査で「贈賄に該当する可能性が高い」とする検証結果を公表したため。角川氏への聞き取りがなかったことも問題視している。

 同社は報道各社に「個別の内容についてのコメントは差し控える」としつつ、これまでの対応について「必要なものであったと考えている」との考えを示した。

 さらに、同社は物言う株主からもターゲットにされている。香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」は夏野氏の取締役解任を求める株主提案を出している。オアシスは筆頭株主で、「経営陣が『質より量』を重視する戦略を推進してきた結果、中核事業である出版・IP創造戦略の収益性が損失されている」などと訴えている。

 株主総会は24日に開催される。日本外国特派員協会で会見した角川氏は「わずか1%の株ですけども、オアシスに賛成したいと思っております」と明言した。

 会見後、角川氏は「オアシス側から会いたいと言われ、会いました。オアシスは長期にKADOKAWAの株を持っていたようで、本当に丁寧に(企業の情報を)見ているんですよ」と指摘。

「特にオアシスが言いたいのは『前の経営者の責任だって言うけどもアナタ自身(夏野氏)も5年間もやってたんでしょ。前の経営者の責任とは言えないでしょ』っていうこと。これは長期に持ってないと言えないことですよ」と、オアシスの主張には説得力を感じたと明かした。夏野氏が同社社長に就任したのは2021年だった。

 オアシス側から夏野氏解任への並々ならぬ意欲を感じた一方で、夏野氏解任後の構想についてオアシス側は何も明かさなかったともいう。

 KADOKAWAは正念場を迎えている。