台湾の威信は取りあえず守ったか。日本ハムの孫易磊投手(スン・イーレイ=21)が11日のDeNA戦(エスコン)で今季初先発。8奪三振を含む6回2安打無失点の好投でプロ初勝利を飾った。

 来日3年目の台湾出身右腕は立ち上がりから150キロ台中盤の直球と鋭く落ちるフォーク、チェンジアップで相手打線を圧倒。4回まで1人の走者も許さない完全投球を見せた。5回には安打と四球などで一死二、三塁の窮地を招くも後続を力でねじ伏せピシャリ。自己最速の158キロもマークしてチーム7連勝に大きく貢献した。

「ファームで投げていた時よりも感覚が良かった。(初勝利は)ちょっとほっとしている感じです。昨年最後に投げたのが9月ですが、やっと(今日)いい投球ができて不安な気持ちがなくなりました」(孫)。

 3年目でのプロ初勝利に加え自らの好投でチームの連勝を継続できたのだから、試合後にホッとした表情を浮かべたのも無理はない。

 ただ、この孫のプロ初勝利。本人以上に安心したのは台湾のファンや球界関係者だろう。このところ鳴り物入りで来日する台湾選手が相次いで低迷。このままなら台湾勢が総崩れの様相を呈していたからだ。

 今季日本球界には過去最多13人の台湾出身選手が所属しているが、一軍で奮闘しているのは3年総額15億円(推定)の大型契約で今季ソフトバンク入りした徐若熙投手(25)ぐらい。その徐も現時点で6戦2勝3敗、防御率4・99と期待通りの活躍とは言い難い。

 WBC台湾代表の主砲で20年に台湾リーグ本塁打&打点王に輝いた西武の新外国人・林安可外野手(29)は開幕直後こそ一軍で活躍したが、以後は打撃低迷で5月末に二軍落ち。同じく台湾代表の日本ハム2年目右腕・古林睿煬投手(26)も今季ここまで6試合で0勝1敗、防御率5・40と精彩を欠く。この惨状では台湾球界のレベルが疑問視されるばかりか、今後日本球界を目指す後輩たちにも影響を及ぼしかねない。そんな中で〝台湾の至宝〟と呼ばれる孫のこの日の好投は台湾の野球ファンだけでなく球界関係者の「光」になったに違いない。

 この日、孫をマウンドに送り出した新庄監督も試合後、「何が素晴らしいって(6回を投げ)四球1つでしょ。去年の孫君から7歳ぐらい大人になったマウンドさばきだったね。次も見てみたい?もちろん。いつ(投げる)かは…フフフ(笑い)。まあでも、これで(同胞の)古林も燃えるだろうしね。楽しみですよ」と絶賛していた。チームにとっても台湾野球界にとっても重要な1勝になったはずだ。