なぜかこのタイミングで突如湧き出た「大谷ルール」を巡る論争に、なかなか収束の兆しが見えてこない。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は24日(日本時間同日)、同サイトで「敏腕記者」としても名高いケン・ローゼンタール氏(63)による検証記事を掲載。ドジャース・大谷翔平投手(31)を巡る二刀流ルールへの批判に、冷静な視点から切り込んだ。
発端はカブスのクレイグ・カウンセル監督(55)らの問題提起だ。大谷は二刀流選手として登録されるため、ドジャースは通常の投手13人枠に縛られず、事実上14人目の投手を抱えられる。投手として降板後も指名打者で出場を続けられる制度もあり、ナショナルズなどでGMを務めたジム・ボーデン氏(64)を含め、球界内外から「一方的なアドバンテージ」とする声が上がっている。
だが、ローゼンタール氏の見方は単純なドジャース批判とは一線を画す。二刀流登録の仕組みは2019年に大リーグ機構と選手会が合意し、22年に本格適用された制度。投手降板後もDHで残れるルールも同年に導入された。いずれも大谷がエンゼルス在籍時に整備されたもので、ドジャースを勝たせるために後付けされたものではない、という整理だ。「もしエンゼルスが先見の明を持って大谷を引き留めていれば、その批判されるチームはエンゼルスだったかもしれない」ともローゼンタール氏は指摘している。
もちろん恩恵は大きい。大谷は今季4試合に先発し、24イニングで防御率0・38。投げればエース級、打てば主軸という存在が、さらにロースター運用の柔軟性まで生む。相手球団にとっては不公平感が募るのも無理はない。
それでもローゼンタール氏は、ドジャースがルールの範囲内で最大限の価値を引き出しているに過ぎないと指摘する。10年総額7億ドル(契約当時のレートで約1015億円)の契約を結んだ時点で、各球団はこの競争上の利点を理解していた。できるなら、どの球団も同じことをしたはずだ。
結局のところ問題の本質は制度ではなく、大谷だけが制度を現実の武器にできているという「特異性」にある。文句を言いたくなるほどの〝特権〟は、ルールの穴ではない。球界でただ一人、二刀流を成立させる大谷の規格外ぶりそのものが生んだ現象だ。要はドジャース以外の他球団も悔しかったら大谷を獲得するか、自前で二刀流を育成するしかない、ということだろう。












