ソフトバンクは14日にロベルト・オスナ投手(31)と協議中だった「契約見直し交渉」に合意したことを発表した。2023年オフに交わした4年総額50億円超(推定)の契約に「クローザー限定起用」とする条項が付帯。起用法の柔軟性を欠く契約内容を見直すため、長期にわたって双方が水面下で交渉を進めていた。孫正義オーナー(68)も重大な関心を寄せていたとされる鷹の懸案が、ひとまず一定の決着をみた。

 オスナが文字通り「一兵卒」として一軍の輪に加わった。この日、チームは元守護神をようやく出場選手登録。「クローザー限定」という足かせが外れたことで、イニングを問わず起用が可能となった。そして、さっそく楽天戦(みずほペイペイ)には1点ビハインドの7回から3番手で登板して三者凡退。柔軟な起用に応え、これ以上ない再スタートを切った。

 見直し前の契約は、流出の可能性があった元MLBセーブ王を引き留めるために用意した大型契約だった。ただ、かねてFA戦士に対しても「レギュラー保証」を認めてこなかった球団が見せた異例ともいえる譲歩は、現場の起用法を著しく制限した。

 一昨年からオスナに不調が散見され、首脳陣は実力主義で藤井、松本裕、杉山を競わせた。その意図に呼応するように3投手が急成長。健全な争いの末に杉山がセーブ王を獲得し、実力で守護神の座を奪い取った。

 開幕一軍メンバーの登録期限だった先月26日のタイムリミットまでに新契約の調整がつかなかったことは、フロントにとって痛恨だった。少なくとも昨季中から契約の見直しに向けて着手。それだけに、新シーズン開幕までに柔軟な起用を求める現場の声に応じきれなかった事態が悔やまれた。

 鷹の総帥も事の成り行きを注視していた。〝金は出すが、口は出さない〟を地で行く孫オーナーも「多忙な中、今回の経緯を把握していた。選手のキャリアを気にかけつつ、現場の声に耳を傾けていた」(グループ本社関係者)とされ、過去の大型契約案件を含めて是非が問われているようだ。

 右ヒジ手術の藤井が今季全休、WBCに出場した松本裕が本調子ではなく、杉山は左手を骨折…。開幕前から現場では「中継ぎ不安」が広がっていただけに遅きに失した感は否めないものの、メジャーの頂点に君臨した元守護神が紆余曲折を経て帰ってきた。本人も心中穏やかではないかもしれないが、当然プライドもあるはずだ。雨降って地固まるとなるか――。