ブルージェイズが「次の大谷」を自前で育成しようと心血を注いでいる。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」電子版「ON SI」は、同球団傘下1Aダニーデンのオースティン・スミス外野手兼投手(22)が9日(日本時間10日)、米フロリダ州ポートセントルーシーのクローバー・パークで行われたメッツ傘下1Aセントルーシー戦でプロ初登板を果たしたと報じた。

 ブルージェイズはかつて大谷の獲得レースで敗れたが、今度はマイナーで二刀流の原石を育てる構想を本格化させているという。スミスは2025年のMLBドラフト10巡目指名。ON SIによれば、この日は投手として起用され、1/3回を投げて1安打1失点、2四球だった。打席には立たず、まずはマウンドでの一歩を踏み出した形だ。

 ただ、記事の主眼は結果そのものではない。本人は地元メディアを通じて、プロでの二刀流挑戦について「間違いなくワクワクする」と前向きな姿勢を示しており、球団側も外野手と左腕の両面で育成する方針を崩していない。単なる話題づくりではなく、時間をかけて磨く前提のプロジェクトという位置づけだ。

 ここで浮かぶのが大谷の存在だ。ブルージェイズは23年オフ、大谷争奪戦で最後まで有力候補に挙がりながら〝誤報騒動〟も重なり、最終的にはドジャースに敗れた。その後も大谷は球界の基準点であり続け、二刀流育成の発想そのものを各球団に広げている。

 今回のスミス起用も、その流れの延長線上にあるとみていい。大谷を獲れなかった球団が、無念さをバネにどう巻き返していくのか。その一つの答えが、今回のスミスの初登板に詰まっていると評している。

 さらに現在のブルージェイズには、巨人から加入した岡本和真内野手(29)も在籍している。言うまでもなく、岡本は今季開幕前に4年契約で加入した主砲候補。球団は大谷を輩出したNPBから即戦力として長距離砲・岡本を迎え、もう一方で将来像として二刀流素材を育てようとしている。大谷を逃した球団が岡本で「今」を埋め、スミスで「先」を仕込む。表向きは地味な1A登板でも、その裏には球団の野心的な青写真が透けて見える。