派手さはなくても、勝負どころを拾うしぶとさは確かにある。新井貴浩監督(49)率いる広島は、開幕から8試合を終えて4勝4敗の五分。今後も楽な戦いが続く気配はない。チーム打率2割2分3厘、総得点22はいずれもリーグ最低で、攻撃陣の上積みは欠かせない状況だ。ただ、足元の戦いぶりには悲観材料ばかりではない。

 評価すべきポイントは、4勝のすべてを1点差で拾っている点だ。就任4年目の指揮官は、開幕から2年目・佐々木泰内野手(23)を4番で起用し続けているほか、試合中の負傷で抹消中のドラフト1位新人・平川蓮外野手(22)、同3位新人の勝田成内野手(22)ら、次代を担う若手を積極的に使っている。実際に球団内でも「ルーキー以外もウチは外国人を除けば、スタメンは20代。レギュラーといっても菊池を除くと、何年も出続けた選手はいない。苦しみながら最終的には、勝つ経験というのは、今後の彼らの成長にも大いにつながる」と、僅差の接戦をものにしている現状を前向きに捉えている。

 さらに現場では、流れの面でも「ある程度、運が向いている」とみる向きがある。3月27日の中日との開幕戦では9回に4点差を追いつき、延長10回にサヨナラ勝ちを収めた。もっとも、その背景には相手守護神の不調もあったという見方だ。「あれから中日さんは5連敗。うちも2度、最終回で森浦が救援に失敗したけど(4日までの)4連敗で済んだわけだから」と、悪い流れにのみ込まれずに踏みとどまれている点を指摘する声もある。

 加えて、まだ上積みの余地は残されている。開幕投手の床田寛樹投手(31)、森下暢仁投手(28)の左右の両エースには、いまだ白星がついていない。投の二枚看板が本来の力を示し、登板日に勝利を呼び込めるようになれば、チームはさらに勢いづく可能性がある。

 昨季まで2年連続Bクラスに沈み、開幕前の順位予想でも昨季最下位のヤクルトに次いで低評価が目立った広島。現在首位を走る燕軍団の背中を追う中で、下馬評を覆す戦いを続けられるかが注目される。