沈みかけた空気を、若い力がひっくり返した。広島にとっては就任4年目の新井貴浩監督(49)が進める「世代交代」が、一気に前へ進む気配を漂わせる劇的勝利だった。中日との開幕戦(27日、マツダスタジアム)に延長10回、6―5でサヨナラ勝ち。9回表に3点を失って1―5とされ、3万2506人の鯉党にも諦めムードが広がる中、若鯉たちが土壇場で意地を見せた。
9回裏、相手4番手のアブレウの乱調につけ込み、代打のエレフリス・モンテロ内野手(27)の2点適時打で2点差まで迫ると、なおも一死一、二塁でドラフト1位ルーキーの平川蓮内野手(21)が快音を響かせた。カウント3ボールから積極果敢にバットを振り抜き、左翼線へプロ初適時打となる同点の2点打。「勝手にバットが出ていた」と振り返った一打で、試合を5―5の振り出しに戻した。
そして延長10回二死一、二塁で決着をつけたのも、またルーキーだった。ドラフト3位ルーキーの勝田成内野手(22)が相手6番手・勝野から右翼線へ運び、プロ初安打をサヨナラ打に変えた。この日「8番・遊撃」で先発起用された勝田は、この打席まで2度の得点機で凡退。それでも「3度目の正直ということで、気合入れて打席に立ちました」と、物おじしない強心臓ぶりを示した。
若手の存在感は野手陣だけではない。投手ではドラフト2位ルーキー・齊藤汰直投手(22)が2番手で1回無失点。同5位の赤木晴哉投手(22)は9回に4番手として登板し、4安打3失点とほろ苦い船出となった。それでもチームが最後に勝ち切ったことで、その経験も次へつながるものになった。新井監督は「それぞれが頑張ってくれた。まだまだ彼らは抑えても打たれても勉強。これからいろんなことが起こる。とにかく失敗を恐れず、一生懸命やってくれたらいい」と前を向いた。
4年目で初の開幕戦勝利は、もちろん143試合のうちの1勝にすぎない。だが、昨季59勝79敗5分けで5位に沈んだチームにとって、浮上には従来の延長線上ではない変化が必要だった。その意味で、この日の新井監督のタクトははっきりしていた。0―3の苦しい流れでも平川を信じ、延長のサヨナラ機でも、それまで4打数無安打の勝田に託した。
誰を我慢して使い、誰とともにチームを作り替えていくのか。新井監督が描く「再建の輪郭」は劇的な1勝によって、これ以上ないほど鮮明に浮かび上がったと言えそうだ。












