WBCの不振は、根深い。ソフトバンクの近藤健介外野手(32)が19日にみずほペイペイドームで行われたチームの全体練習に合流。侍ジャパンの主力として参加したWBCでは準々決勝敗退に終わり、自身は13打数無安打と不振を極めた。前回は優勝、今回は史上ワーストの8強止まり。屈辱を味わったNPB最強打者は「自分自身もっと伸びしろがあると思わせてくれた大会だった」と、悔しさを糧に2028年ロサンゼルス五輪を照準に雪辱を誓った。

 傷心の帰国から3日、近藤は「ここに戻ってきて切り替えられたという感じがある」と率直な思いを口にした。大谷(ドジャース)、鈴木(カブス)らとともに絶対的主力として臨んだ今大会。改めて「期待に応えられず本当に申しわけないと思います」と唇をかんだ。

 日本球界屈指の技術屋が、これほどまでに不振に苦しむとは誰も想像できなかったはずだ。2月の代表合宿から打撃の状態が上向かず、大会を通じて13打数無安打。長いトンネルの出口どころか、光を見いだすこともままならなかった。何が起きていたのか――。

「原因を追究する時間もなかった。本当にいい状態で大会に入らないといけないなと思いました」。大会中、断つことのできない悪循環を抱えていた。世界最高峰のWBCの戦いは、付け焼き刃でどうにかなるほど甘いものではない。打席での立ち方、見え方に違和感を覚え、大会直前にオフから取り組んできた打撃フォームを矯正。目の前の結果を求めてもがき続けたが、功を奏すことはなかった。

 NPB屈指の技術と豊富な引き出しを持ってしても、見つからなかった解決策…。「個」よりも「チームの勝利」を最優先にした選択に迷いこそなかったが、肝心の「結果」が伴わなかった。大会中「気持ちの部分が大きい」と悟っていたように焦りが迷走を深める。大会前の調整と心身の充実がいかに重要かを思い知らされた大会となった。

 転んでもただでは起きないとばかりに「不完全燃焼で終わってしまったんで、もう一回ロスに向けて体を鍛え直して、出るチャンスがあればやり返したい。そういう舞台でやり返せたらいい」と力を込めた近藤。苦い経験は今後の処方箋となるはずだ。