気が早いどころではない。ベネズエラに第6回WBC決勝で3―2と競り負け、3大会連続の準優勝に終わったばかりの米国で早くも「次回代表」の青写真が広がり始めた。米メディア「ファンサイデッド」は、次回大会の開催年すら固まっていない段階で〝未来の最強軍団〟を特集。敗戦のショックが大きいからこそ、米国内で「次こそ取り返す」という空気が先回りしている構図が透ける。

 実際、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏(67)もAP通信のインタビューに応じ、次回WBCについて「2029年か30年」としつつ「4年も待たせるな」という声が多く届いていると明かしており、早期開催論が一気に現実味を帯びてきた。米国敗戦直後におけるこの温度感は、雪辱機会を少しでも前倒ししたい本音の表れとも映る。

 前出の「ファンサイデッド」が並べた顔触れも、世代交代を前提にしたものだ。野手ではコービン・キャロル外野手(25=ダイヤモンドバックス)、ボビー・ウィットJr.内野手(25=ロイヤルズ)、ガナー・ヘンダーソン内野手(24=オリオールズ)、ニック・カーツ内野手(23=アスレチックス)、ローマン・アンソニー外野手(21=レッドソックス)、ジェームズ・ウッド外野手(23=ナショナルズ)、ジャクソン・メリル外野手(22=パドレス)、ドレーク・ボールドウィン捕手(24=ブレーブス)ら若手中心。投手陣もポール・スキーンズ投手(23=パイレーツ)、タリク・スクバル投手(29=タイガース)、ハンター・ブラウン投手(27=アストロズ)、ノーラン・マクリーン投手(24=メッツ)、トレイ・イェサベージ投手(22=ブルージェイズ)と、次代の看板候補がずらりと並ぶ。負けた翌日に「次の米国」を語れるのは層の厚さだが、裏を返せば、今大会の敗北がそれだけ米国に重くのしかかっている証拠でもある。

 もっとも、話はそう単純でもない。マンフレッド氏は将来的なシーズン中開催にも言及しており、28年ロサンゼルス五輪でメジャーリーガー参加が実現すれば、同年7月から29年春まではあまりに間隔が短い。五輪とWBCをどう並べるかは、興行面だけでなく球団の投手管理や選手招集にも直結する。だからこそ、米国内では「米国のリベンジを急ぎたい思惑」と「五輪との過密化は避けたい現実」が同時進行している。

 敗戦の悔しさが次回代表予想を加速させ、コミッショナーの前倒し示唆まで呼び込む。米国は今、敗れた翌日からすでに〝次の決勝〟を始めている。