ドジャースのムーキー・ベッツ内野手(33)に、完全復活の気配が漂ってきた。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は、昨春の日本遠征前後に体調を崩して苦しんだ〝悪夢の2025年〟を乗り越えつつあるベッツが、今春は新たな打撃強化と調整法で本来の姿を取り戻しつつあると報じた。

 MLB公式サイトも、ベッツが山本由伸投手(27)の調整法を採り入れ、やり投げまでメニューに組み込んでいると伝えている。ベッツは昨季、胃腸系の不調で約18~20ポンド(約8~9キロ)も体重を落とし、打撃成績は打率2割5分8厘、OPS・732と低迷。それでも終盤は持ち直し、8月5日以降は47試合で打率3割1分7厘、OPS・892と巻き返した。守っても遊撃でゴールドグラブ賞の最終候補に残り、失意のシーズンを「衰えの始まり」ではなく「反転の助走」に変えた。

ベッツも取り入れたドジャース・山本由伸のやり投げトレーニング
ベッツも取り入れたドジャース・山本由伸のやり投げトレーニング

 今回のポイントは、その再生の中身だ。前出ジ・アスレチックによれば、ベッツは昨年の不調要因の一つだったバットスピード低下を強く意識。そこに重ねたのが、山本の専属トレーナーとして知られる矢田修氏、通称「矢田先生」のメソッドだった。柔軟性と可動域を重視する独特の調整法に加え、山本でもおなじみのやり投げトレも導入。ベッツ自身が「考え方も人生もプレースタイルも変わった」と語るほど、手応えは大きいようだ。

 山本は2025年にレギュラーシーズン30試合で12勝8敗、防御率2・49、201奪三振をマークし、ドジャースの開幕投手にも指名された。第6回WBCにも日本代表として参加したものの準々決勝・ベネズエラ戦(ローンデポ・パーク)で逆転負けを喫し、敗退したことで、現在はドジャースのスプリングトレーニングに再合流。そんな右腕の〝由伸流〟を、球界屈指のスター野手が本気で取り入れ始めた意味は小さくない。

ベッツ(右)とハイタッチするドジャース・山本由伸
ベッツ(右)とハイタッチするドジャース・山本由伸

 昨年は東京での開幕シリーズを体調不良で棒に振り、シーズン序盤から歯車が狂った。今年は違う。日本発の調整術を吸収したベッツが、再びMVP級の打棒を取り戻せば、ドジャース打線はまた一段、厄介になる。大谷翔平投手(31=ドジャース)だけではない。3連覇を目指す「西の帝国」の恐ろしさは、ベッツの〝再起〟そのものにある。