【プロレス蔵出し写真館】今から25年前の2000年(平成12年)7月1日、ディファ有明のこけら落としで新生・全日本プロレスが開幕した。
前売りはほぼ完売。約100枚の当日券も2時間で売り切れた。館内は超満員札止め1500人の観衆で埋まった。
この日の試合は全5試合で、メインイベントは川田利明VS渕正信のシングルマッチ。観客の期待に応えて試合は激しいものとなった(写真)。川田が数十発の顔面蹴りと強烈なチョップを連打すると、渕の白い胸は真っ赤になりミミズ腫れができた。
渕も顔面蹴りからバックドロップ3連発で意地を見せる。しかし、最後は川田が高角度パワーボムを決めて22分48秒、エビ固めで勝利した。館内は拍手と歓声の嵐だった。
川田は「今日一日だけじゃ伝わらなかったと思うけど…カウント2.9で返す試合がいい試合というイメージを変えていきたい。大技を出さなくても心に残る試合、痛みの伝わる試合はできると思う。それを追求していきたい」と思いのたけをブチまけた。「僕がそう言った以上(全日本の方向性も)そうなるでしょうね」と、堂々と胸を張る姿は、新たな〝王道〟の盟主としての自信に満ちあふれていた。
三沢光晴以下、大量26選手が離脱してから初の大会を大成功で終えた。
全日プロは三沢社長とジャイアント馬場夫人の元子さんが対立して、三沢が社長を解任(※三沢が自ら申し出た)され、直後に退団。川田と渕、和田京平レフェリー、木原文人リングアナ以外の選手、スタッフはほとんどが三沢に追従した。
「王道」全日本プロレスが最大の危機を迎え、ファンは大いに心配したが、有力外国人レスラーは継続参戦を約束。翌2日の後楽園ホールで天龍源一郎が電撃復帰を果たし〝最悪の事態〟は避けられたのだった。
さて、三沢が和田レフェリーを新団体に誘ったことは、和田レフェリーが明らかにしているが、川田と渕は声をかけられなかったという噂が、まことしやかにささやかれた。
渕が当時の状況を振り返った。
「(三沢に)オレと川田も声をかけられた。川田がみんなから嫌われてるから、声かけられなかったとか、周りで言われてたようだけど(笑い)。ただ、いくら馬場さんがいなくても、奥さんの元子さんがいるじゃない? いくら喧嘩したって、話し合う余地があるんじゃないかと思ってた。『分裂するならオレはもう辞めるよ』って言った」
「オレは馬場さんが亡くなった時点で、もうそんなに…。鶴田さんも亡くなったし(00年5月13日)、辞めるつもりだった。46歳だったし、家族会議っていったらオーバーだけど、父親とか話をしなくちゃいけないなと思って九州へ帰った。北九州の父親の近辺で仕事探そうかな、という気持ちで。そんなある日、川田から北九州の家の方に連絡が入った」
「みんなが離れると思ってたら、川田が『僕は残ります。全日本プロレスがこのままなくなるのは嫌です』って泣きながら電話かけてきた。まだ元子さんもいるし、後始末をやるっていうことで残留することを決めた」
2013年(平成25年)2月、全日のオーナーに就任した白石伸生氏に反発して、6月30日の両国大会を最後に武藤敬司らが退団したときも、渕は全日に残留した。
「あの時は、もうそんな長い選手生活じゃないから、ずっと全日本にいようっていう気持ちだった。諏訪魔が全日を離れたくないという気持ちが強くて、諏訪魔から何回も連絡があって、『全日本にいて下さい』って。『オレはそのつもりだぞ』って返したこともあったね」
00年6月、新日本プロレスの永島勝司取締役から対抗戦を打診され、G1クライマックス最中の両国国技館に乗り込んだ渕は、堂々としたマイクパフォーマンスで新日ファンに歓迎された。渕は対抗戦開戦の立役者となったのだ。
「まさか新日本のリングに上がって、マイクでしゃべるなんて全然想像もしなかった。(全日を)辞めるはずだったのが、ね~(笑い)」
ところで、3月10日にお笑い芸人・はなわの長男で国士舘大柔道部出身の塙元輝(はなわ・げんき)の全日本プロレスに練習生として入門することが発表された。塙は「スターになりたい。憧れの武藤敬司さんみたいな素晴らしい選手になってみたい」と抱負を語った。
実は父のはなわは息子より先に全日マットに上がっている。武藤敬司体制の08年(平成20年)6月10日、後楽園ホールで行われた「武藤祭」に、プロレスラーとお笑い芸人がタッグを組む「F(フェイク)-1タッグ選手権」に参戦した。曙とタッグを結成し、元横綱武蔵丸に扮して〝横綱コンビ〟として王者チームの武藤&神奈月組に挑戦。試合には敗れたものの、自身のヒット曲「伝説の男」の替え歌で、武藤の恥ずかしい過去を暴露。しっかりと〝爪痕〟を残している。
渕は過去に、はなわと六本木の飲み屋で遭遇したことを明かし「せっかく全日本に入ってくれたんだから、頑張ってほしいよね」。そう息子にエールを送った(敬称略)。【プロレス蔵出し写真館】の記事をもっと見る













