エース流出の影響はいかに――。昨季、パ2連覇と日本一奪回に成功したソフトバンクの小久保裕紀監督(54)が開幕に向け台湾遠征など着実に実戦をこなしている。そんな指揮官を本紙専属評論家の伊原春樹氏が直撃。リーグV3、2年連続日本一への意気込みと、エース右腕・有原航平投手(33)の日本ハム流出による影響を聞いた。

【新鬼の手帳・伊原春樹】昨季、日本球界でただ1人、笑顔でシーズンを終えた指揮官を開口一番、「おめでとう」と祝福すると「ありがとうございます」と返って来た。

 球団初となるリーグ3連覇に向けては「(2021~23年に)オリックスがしてますから」とアッサリ。到達すべきノルマと感じさせた。

 その偉業に立ちふさがるのはやはり新庄日本ハムだろう。昨年12月28日に2年連続パ最多勝の有原の獲得を発表。MVP左腕モイネロと並ぶエースのライバル球団への流出で、プランは軌道修正を余儀なくされたことだろう。

 さっそく指揮官に有原のことをぶつけると、「(有原は)ジャイアンツかと思っていたので。(セ・リーグの)ジャイアンツならいいかなと。日本ハムとは思わなかった」と正直な思いを吐露していた。

 もちろんチームは有原流出に備え手は打っていた。〝台湾の至宝〟徐若熙投手(25)を3年推定15億円で獲得。ドラフト2位で即戦力右腕・稲川竜汰投手(22=九州共立大)を指名すると、国内FAを宣言した東浜巨投手(35)も残留となった。

 だが小久保監督をさらに悩ませるのが開幕を迎えるWBC。日本代表監督を務めたこともあり全面協力を惜しまないが、今年から日本人枠となるキューバ代表・モイネロは「4月は(登板は)無理だと思います。大会後、2週間ぐらい(調整が)必要と言われているので」と開幕後もしばらく不在が続くそうだ。

 今季のローテについて指揮官はどう考えているのか? 「有原は毎年、180イニング(昨季は175イニング)ぐらい投げていた。カーター(スチュワート=26)が120イニングいってくれれば」と言った言葉には力がこもっていた。

 今季が8年目となる右腕スチュワートは24年に20試合で防御率1・95、9勝(4敗)をマーク。だが昨季は左脇腹を痛め登板がなかった。大関(13勝)、上沢(勝)らが調子を維持し、〝未完の大器〟が実力を発揮してくれれば、十分に埋められると計算を立てていた。

 一方、昨季、主力の故障や不振が相次いだ鷹打線は柳町、牧原大、野村らが急成長。指揮官は「今のところ流動的なのはショート。野村、今宮らで競争ですね。外野はセンター(周東)佑京、ライト近藤、レフトは柳田、柳町らの競争で考えてます」と構想を教えてくれた。

 昨季、23本塁打ながら打率2割2分6厘と不振に陥った山川もポストシーズンでは打棒が復活。日本シリーズMVPに輝いた。指揮官は「山川は今年は打つと思いますが、DHで考えています。昨季、チームがリーグ最多失策(77失策)になったのは山川がめちゃくちゃ多かった(=9失策)から。だから最後は守らせなかった」と打撃に専念させる意向だという。

「去年は柳町辺りが本当にがんばってくれた」と感謝していた指揮官。懸案材料の先発が固まれば3連覇は現実のものとなりそうだ。

(本紙専属評論家)