WBC連覇を目指す侍ジャパンは、27日の中日との壮行試合(バンテリン)に5―3で快勝。試合前練習では代表に合流したばかりの大谷翔平(31=ドジャース)がフリー打撃で快音を連発し球場を大いに盛り上げた。大谷は出場せず、ベンチ後部席から戦況を見守るのみだったが、その存在感はまさに侍の〝裏番長〟。ナインの背後に二刀流スーパースターが座っているだけで、チーム内の緊張感はピリピリと高まっていく――。

 試合終了後、お立ち台に選ばれたのは初回に先制の3ランをマークした佐藤(阪神)。相手右腕・柳の投じた内角低めギリギリへ沈むカットボールを器用に捉えると、白球は右翼席中段まで届く特大弾となった。

 虎の規格外男はこの日、他の侍ナイン、中日ナインらとともに大谷のフリー打撃をまるで野球少年のような表情で見学。「見て勉強できるところはたくさんあると思う。自分に還元できれば」。まだ大谷本人とは密なコミュニケーションを取ることはできていないようだが、本塁へ帰還した際に「(メジャー勢とも)ハイタッチできたので。見ててくれたと思います(笑い)」とマイペース男にしては珍しく、はにかんだ笑顔をのぞかせた。

試合前に、豪快フリー打撃を披露した大谷翔平
試合前に、豪快フリー打撃を披露した大谷翔平

 前回大会の2023年時も、大谷がチームに合流したのは当地バンテリンドームでの中日戦からだった。当時、侍スタッフとしてチームにフル帯同していた関係者も「間違いなく大谷が合流したバンテリンから、チームの雰囲気はガラッと引き締まった」と振り返る。

 MLBで数々のタイトルを獲得し、ワールドシリーズも既に2度制した超大物が「真後ろから自分を見ている」という緊張感は、いやが応でも後輩ナインたちを引き締める。佐藤だけでなく、他の多くの井端ジャパンのナインたちも「大谷らメジャー勢が一斉に合流したことで、チームに緊張感が漂ってきた」と口をそろえる。

 日頃は紳士的で柔和な態度を貫く大谷だが、いざ勝負の場となれば修羅の表情を隠さない。前回大会の準決勝メキシコ戦では、1点ビハインドの9回に先頭打者として右中間二塁打をマークすると、塁上で両腕を何度も激しく突き上げナインを鼓舞。勝負師のゲキで一気に盛り上がったナインたちが連打でつなぎ、劇的なサヨナラ勝利を飾った。

 前日26日の合流会見では、侍チーム恒例の「決起集会」についての質問が飛んだ際、「おいしいご飯を食べにいくわけではない」と〝浮かれモード〟に早くもくぎを刺した大谷。ただそこにいるだけでチームを引き締めてくれる〝裏番長〟のような存在と言えそうだ。