沖縄・宜野座キャンプで阪神の佐藤輝明内野手(26)が3月開催の第6回WBCに向け、内外野の守備にも取り組みつつ準備を進めている。だが、熱量が上がっているのはグラウンドの中だけではない。この時期の沖縄には複数球団のMLBスカウトたちが巡回し、佐藤輝も含め将来のメジャー挑戦を見据える選手たちを熱心に〝品定め〟している。その視線の先にある採点基準は、驚くほど単純だった。それは「直球」であるという――。

 沖縄でNPB各球団のキャンプを視察しているMLBスカウトの1人に「テルアキ・サトウ」という名前を投げかけると「何と言っても、メジャートップクラスの直球に対応できるのかがポイント」と前置きなく切り出してきた。

 スカウトの立場からすれば、キャンプやWBCでの実戦視察は「可能性を探る場」ではない。自軍の戦力にフィットする〝即戦力〟になり得るかどうかを見極め、判断材料を持ち帰る作業だ。だから評価軸をむやみに増やさず、シンプルに「直球」というテーマへの対応を突き詰めてみる――というわけだ。

 今春、佐藤輝はWBCで初めてトッププロとの本格的な顔合わせを経験する。予選C組で対戦する韓国や台湾もレベルが高いとはいえ、焦点はその先にある。ドミニカやベネズエラのMLB主力級投手と対峙したとき、打席の中で何が起きるのか。本人が「子供の頃から憧れだった」というWBCの舞台は、そのまま直球対応への〝答案提出〟の場となるはずだ。

 別のスカウトは「MLB関係者の評価では、岡本和真(ブルージェイズ)、村上宗隆(ホワイトソックス)と比べると、直球への対応という部分で佐藤は劣るのではないかという見方が多い」とも話す。さらに将来の伸びしろを含めた上で「日々努力しているとは思うが、メジャークラスの直球の対応に苦労するというイメージを払拭しなければ大きな契約は取れない」と続けた。

 重要なのは印象論ではない。打席の中で起きる「直球に差し込まれる」あるいは「詰まる」という局面が、データとして積み上がっていくこと自体が評価の前提条件になる。昨季、本塁打と打点で2冠王という結果を残したからこそ今季はNPBの各球団のマークも一段と厳しくなることは避けられない。それを踏まえ「各チームの対策をかいくぐって昨季と同等か、それ以上の数字をたたき出すことができるか」(前出スカウト)に、スカウトの視線も集まっている。

 メジャー挑戦を公言する虎の主砲。評価の入り口に置かれた問いは「直球」ただ一つ――。この問題に明確な回答を示す時、佐藤輝は〝次のページ〟に進むことができるのだろうか。