〝クセ盗みの達人〟が自軍を強化中だ。日本ハム・新庄剛志監督(54)は現役時代から相手投手やバッテリーが無意識のうちに見せるクセを察知し、自身の打撃に生かしてきたことで知られる。

 最近ではオリックス・岸田監督の試合中のわずかな所作を見逃さず「スクイズのサインを出した時にガムをかむスピードが速くなる」とズバリ指摘。ルパンのような特殊能力に球界関係者らは度肝を抜かれたが、今度はその力をチームに還元しているのだ。

 例えば、キャンプ初日の1日に視察したブルペンでWBCに出場する北山の投球を数分間見ただけでクセを発見。直球と変化球を投じる際のわずかな違いを見抜き、すぐさま本人に修正を促した。さらに、昨オフの現役ドラフトで巨人から加入した菊地には、ボールを握る人さし指と中指の幅を「狭めた方がいい」と助言。菊地も「今までこういうことはなかったので。本当にうれしい」と目を輝かせ「投げづらさはないですし、2本の指の力がバランスよく加わるっていうところで。これからやっていこうかなと思います」と誓っていた。

 それにしても、相手のクセや重要な情報を盗んでもひた隠しにする傾向があった新庄監督が、なぜ手の内を明かすようになったのか。二軍キャンプを視察した2日に直接聞くと不敵な笑みを浮かべながらこう説明した。

「これまでは俺、(相手のクセを)ほとんど言ってこなかった。でも、外からの情報で人の観察力とかクセ盗みがうまいっていう情報が出てきてるから。だからちょっとずつ出していこうかなと思って。逆にね(笑い)」

 今季の目標は10年ぶりとなるリーグ優勝と日本一。悲願達成成就のためには自身が苦労して得た情報や知識、アイデアを惜しみなく自軍やナインに還元し、活用してもらった方がいい。そんな思いから〝秘匿事項〟の開放に動いたのだろう。

 今季で指揮官就任5年目。あらゆる手を尽くして頂点を目指す。