カブスからFAとなっていたカイル・タッカー外野手(29)が選んだのはニューヨークでもトロントでもなく、スター軍団を形成するドジャースだった。米メディア「ファンサイデッド」はタッカーの決断を「卑怯」とまで表現しつつ皮肉にも、その選択が古巣アストロズにとっては「最悪のシナリオを回避する一手になった」可能性があると指摘している。

 タッカーはメッツから総額2億2000万ドル(約347億4700万円)規模の短期契約を提示されていたが、最終的に選んだのはドジャースだった。同メディアによると、ドジャースと締結した契約の詳細は最大4年で総額2億4000万ドル(約379億円)に達する可能性があり、猶予条項や2年目以降のオプトアウトを含む極めて柔軟な内容だという。記事ではタッカーがスターぞろいのドジャースに身を置くことで過度な注目を浴びず、このような高額報酬を得られる点を「逃げ切りに近い選択」と皮肉った。

 タッカーはインスタグラムでLA移籍を発表し、「ドジャースの野球の時代が来た」と投稿。同記事では、この〝SNSてん末〟が2015年のドラフト1巡目に指名され、同年6月の契約後から24年まで在籍していた古巣アストロズのファンにとって「裏切り行為に映ってヒート(炎上)を招き、反感も大きく買ってしまった」ことにも触れている。

 しかしながら見方を変えればアストロズには「幸運」もあったようだ。同メディアは「タッカーが移籍先有力候補の1つと目されていたブルージェイズに収まっていれば、再びアメリカン・リーグでの直接対決や、ワイルドカード争いでの障害になっていた可能性が高かった」と説いている。

 アストロズの前途は決して平坦ではない。マリナーズをはじめ、ア・リーグには強豪がひしめく。それでもタッカーという脅威と同一リーグで戦わずに済む点は、確かに小さくない〝追い風〟だろう。同メディアは昨オフにアストロズがカブスへタッカーをトレード放出したことについて「結果的に天才的だった」と振り返っており、「ここでヒューストンでの〝カイルの章〟が正式に幕を閉じた」と結論づけている。

「自分の最善」を選んだタッカーと「リスクを回避できた」と言い張るアストロズ。両者にとってドジャース・タッカーの誕生は、思わぬ形で収まりのいい結末を迎えたのかもしれない。