今オフの補強戦線でドジャースは昨季同様、またしてもMLBの中心に立った。カイル・タッカー外野手(29=前カブス)、エドウィン・ディアス投手(31=前メッツ)といったフリーエージェント(FA)市場の大物を次々と獲得し、ワールドシリーズ3連覇へ突き進む姿に「パワーバランス崩壊」「独占禁止法(Antitrust Law)違反ではないか」といった批判が方々から噴出している。だが、米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「アスレチック」は、真っ向から異を唱えた。
同サイトのタイラー・ケプナー記者は「ドジャースは不完全なシステムを完成させただけだ」と指摘する。資金力は確かに武器だが、それだけで「帝国」は築けない。市場原理に従い、FA制度を最大限に活用し、リスクも承知の上で選手に賭けているにすぎないというのだ。タッカーは高給取りだが、30本塁打や打率3割の「保証付き」選手ではない。それでも獲得に踏み切る判断こそが、ドジャースの哲学だ。
また「なぜ他球団は真似できないのか」という問いに対しても、答えは明快だ。FA市場は連鎖反応を生む。タッカーの契約は次のスターの年俸を押し上げ、その前例がさらに市場を動かす。これは制度そのものが内包する性質であり「ドジャースだけを悪者にするのは筋違いだ」という。
MLBにサラリーキャップが存在しない点も、再び議論を呼んでいる。しかし、1994年のストライキが示したように、キャップ導入は「禁断の弾頭でもある」という。競争の不公平さは昔から存在し、それでも野球は生き延びてきた。短期決戦の偶然性が強者を打ち倒すこともあれば、低年俸チームが頂点に立つこともある。
ドジャースはレギュラーシーズンを〝消耗戦〟と割り切り、層の厚さでプレーオフに最適化してきた。大谷翔平投手(31)ら主力を温存し、10月にピークを合わせる戦略は「スポーツマンシップの是非を超えた合理性の産物だ」とも言い切る。
確かに結局のところ、ドジャースはルールの中で最も賢く振る舞っているだけだ。批判されるべきは勝ち続ける意思ではなく、むしろそれに追いつけない側の構造だろう。単にドジャースを壊すことではなく、他の球団が帝国になれる可能性を広げるために「創造的な対抗策の構築が今こそ求められている」という同サイトの主張は極めて正論かもしれない。













