2月6日開幕するミラノ・コルティナ五輪を目前に控え、ノルディックスキー・ジャンプで突如勃発した〝局部注射騒動〟の背景とは――。前回2022年北京大会でも注目を集めた違反スーツ問題に新たな疑惑が生じ、一部の選手が性器を注射により増大させることで競技上有利なスーツを製作していると欧州複数メディアが報じ、激震が走っている。そこで現役選手を直撃。〝チン騒動〟の実態と、五輪への影響について探った。

 1月上旬にドイツ紙「ビルト」により、一部の選手が局部にヒアルロン酸を注入し、大会で着用するスキースーツを測定していた疑惑が報じられた。シーズン前に選手たちは3Dスキャナーによって、股間の一番低い位置から股下の長さを測定。この位置が下にいくほどスーツの表面積が広がり、浮力が上がるメリットがあるという。

 また同紙によると、過去には睾丸の周りに発泡スチロールを巻いて測定したケースや、シリコン入りの避妊具を着用して数ミリでもスーツの大きさを広げようとしたケースも報道。同紙は「〝ペニスゲート〟がジャンプ界を揺るがしている」と危機的状況を伝えた。

 昨年3月の世界選手権では、個人ラージヒルに出場したノルウェーの選手数人が、スーツの股下部分に規定違反の素材を使用して失格。当時の代表コーチなどが、意図的に不正を行ったことが明らかになっている。こうした騒動を受け、今月15日に国際スキー・スノーボード連盟(FIS)が、ノルウェー代表の指導者など3人を18か月の資格停止処分とすることを発表したばかりだ。

 五輪直前に浮上した今回の騒動は、大舞台での成績を左右しかねない深刻な問題。そこで今回は、W杯ジャンプ男子個人第18戦(18日、北海道・大倉山ジャンプ競技場、ヒルサイズ=HS137メートル)に出場(17位)した内藤智文(32=山形市役所)を直撃。一連の騒動について、選手の立場から見解を示した。

実情を語ってくれた内藤智文
実情を語ってくれた内藤智文

「(意図的な不正がなくても)失格になる競技なので、まずそこは仕方ないというか。それがまん延しているというか、ギリギリを攻める大変なスポーツなので。正直、いろんな国が結構やってると思う。そういう中で『バレちゃいけないよね』というところがあるし、足の引っ張り合いみたいな感じでやってるので。そこはあんまりいいスポーツじゃないなと、やっていながら感じてます」と本音を吐露する。

 国際大会での検査体制の実態についても、こう明かす。「スタッフというか(大会)オフィスの人たちが3人ぐらい見ている中で、身体測定はやっている。もちろん(大会で)使うスーツを登録しないと飛べないけど、その登録も何人も監視している中で行う。大会が終わったら複数人でコントロール(測定)もして、異常なほど厳しくやっている。そこまでして勝ちたいスポーツであることには誇らしく思うけど、あまりお客さんに見せられるところではないですね」と指摘した。

〝局部注射〟に関する記事も読んだといい、私見としてこう語る。「別にそれが禁止なわけではなくて、それも戦術の一つだと思う。ヒアルロン酸だろうが、長茎術だろうが、アソコの測定で出た数値が成績に直結するのは、みんなわかっている。よく思いついて頑張ってるなと思う。かなりお金も投じないといけないし、いろんな人が頭を働かせてるんだろうなと…」と事実上、野放しになっている実情があるという。

 開幕が迫る冬の祭典で、股間の〝操作〟がメダルの色を変えることになるのか。