呉越同舟が火をつけた。米誌「ニューズウィーク」(電子版)が報じたところによれば、今オフ移籍市場の最大の目玉とされているカイル・タッカー外野手(29=カブスFA)を巡り、ブルージェイズ入りの観測が急速に高まっているという。

 発端となったのはタッカーがブルージェイズのジョージ・スプリンガー外野手(36)とともに6日(日本時間7日)にゴルフ新リーグ「TGL」の試合を観戦している姿が確認されたことだった。舞台はフロリダ州パームビーチガーデンズのSoFiセンター。タッカーとスプリンガーは、アストロズ時代の同僚であるマイケル・ブラントリー氏(38)と3ショットの並びで観戦。その様子がSNSで拡散されると、MLBファンの間からは「タッカーがブルージェイズに急接近」「これは事実上、スプリンガーによる〝スカウト会談〟ではないのか」などのコメントが広がり、瞬く間に臆測が一気に噴き出した。

 インド系の米メディア「スポーツキーダ」もこの動きを大きく取り上げ、ブルージェイズファンの間では「タッカーにはメッツ移籍説も予想されていたが、これでその可能性はゼロになった」「今季はブルージェイだ」といった声が相次いだという。

 タッカー、スプリンガー、ブラントリー氏はいずれもアストロズ時代の2022年に世界一を経験した間柄であることから、単なる私的な再会以上の意味を見い出す向きも少なくない。

 もっとも、ブルージェイズにとって最大の障壁は資金面だ。すでに来季の年俸総額はチームに定められた一定の基準額をオーバーし、ぜいたく税(CBT)のラインを超えていることから追加投資には高率の税負担が伴う。それでもロス・アトキンスGMは「創造的な方法で組織を強化する」と明言しており、巨人からポスティングシステムで獲得した岡本和真内野手(28)の獲得に続く一手として自軍からFAとなっているボー・ビシェット内野手(27)の残留交渉、そしてさらにタッカー獲りにまで本腰を入れているとの見方が強まっている。

 一方でビシェットとタッカーのダブル獲得には、ドジャースがフロントラインとして最右翼に躍り出ているとの指摘も一部の米メディアからは報じられている。いずれにせよビシェットとタッカーに関し、ブルージェイズは昨年のワールドシリーズで目の前で世界一を奪われ、辛酸をなめた因縁のドジャースと水面下で壮絶なバトルを繰り広げていることは間違いないようだ。

 ただ気がかりなのは、やはりタッカーとスプリンガーのゴルフ観戦は偶然か、それとも布石なのか――という点だ。少なくとも今、タッカー争奪戦の行方に観点を絞れば、その温度計は明らかにトロント側へと振れ始めている。