年の瀬を迎えた2026年。そんな中で今季、山も谷も経験した左腕に話を聞いた。それが前田純投手(25)だ。プロ3年目の今季は見事に開幕ローテーション入りを果たしたものの、6月下旬に二軍降格。8月には左肘の炎症でリハビリ組に合流すると、そのまま登板なくシーズンを終えた。今オフはリハビリに励みながら松本晴とともに米・ノースカロライナ州にある施設でトレーニングを行った。帰国はネットスローなどの練習も再開している左腕。今年一年で感じた胸の内を直撃した。
──アメリカではどんな取り組みを
前田純 渡米前に事前に作ってもらったドリルをもとに、向こうで自分に合ったメカニックを教えてもらって、それに自分の感覚をすり合わせた。アメリカっていう違った環境でのアプローチをしてみたかった。
──投げられない状態で海外へ自主トレ。迷いはなかったか
前田純 行きたい思いは強かったので。ただ(松本)晴が投げている中で、それを見ているのはちょっとつらかった。それでも今は何も問題もなく投げれるようになったので、本当に耐えてよかったなと。
──アメリカ行きは松本晴から誘われた
前田純 自分がまだ一軍にいた頃に、晴が行きたいと言っていたのを聞いた瞬間に即答で「俺も行きたい」と。(その後)ケガをしてしまって、(ウインターリーグの)プエルトリコに行くのもいいなと思ったんですけど(回復具合を見て)間に合いそうになかったのもあって(アメリカ行きを)決断した。晴に便乗しました(笑い)。
──お金もそこそこかかったのでは
前田純 額を見たときはびっくりしたんですけど、先行投資というか、野球に関してのことなのでいいなと。だいぶ使ったんですけど、すごくいい投資になりましたね。いろんな経験をするのが好きなので、海外に行っただけで面白いし、その中でメソッドにも触れて新しい経験ができて刺激的だった。
──野球以外の刺激も
前田純 バスケ(NBA)とか観戦して、あとは2人ともタコスが好きなのでそればっかり食べてましたね。タコライスとかケバブとかそっち系が好きですね。海外食は全然苦じゃないのでどこでも行けます。
──その中でヒジに負担がかからないフォームへのヒントはあったか
前田純 だいぶ(フォームづくりへ)つながってくることをすごく実感した。(昨オフに自主トレに参加した)和田(毅)さんに教わった「振られる感覚」にもつながっていて、自分の中で感覚が吸収しやすかった。新しいことをしているけど、ゼロからではないというか。前までの「振られる」は遅れて投げていた感じだったけど、今は「振られる」けど押し込めているとうか、負けてない感じというか。いいなという感覚はありますね。
──今年一年さまざまな経験をした。今年を漢字一文字で表すなら
前田純 漢字一文字…「苦」ですかね。苦しいシーズンだったと思います。前半がそこまでうまくいかずに一軍の空気に飲まれたというか。それで後半ケガをして…いや、やっぱり「体」ですかね。体の強さが大事とかわかったし体のことも知って。いろんな体験をしたという意味も込めて。いいですね、こっちですね(笑い)。
──一軍の舞台にのまれた
前田純 先発だったらモイネロや有原さん、上沢さんらが1シーズン投げ切れる理由がわかったというか、経験の差をすごく感じた。ああいう背中を見て、追い越せるようになっていかないといけない。それと一番は自分が大事だなっていうのは感じましたね。自分が何をしたいか、芯がないと生きていけないなとすごく感じた。
──選手個人の芯
前田純 (一軍で活躍している投手は)1人1人すごく極太の芯を感じましたね。和田さんの自主トレに参加した時に、和田さんが長年かけて導き出した正解みたいなものを実感して。「和田さんクラスになるにはそうじゃないと長くできないんだろうな。やっぱりこの人はすごい」と思っていたんですけど、一軍に行ったらなんか皆そんな感じの人で。一軍自体がそういう場所なんだと感じました。
──来季は己の芯を作りあげていく
前田純 「あの人に勝たないと」というよりは、自分自身の芯がぶれずにどんどん成長していけば、当たり前に一軍に入れるようになると思う。自分の芯を作ります。
☆まえだ・じゅん 2000年6月4日生まれ、沖縄県沖縄市出身。左投げ左打ち、投手。背番号51。身長189センチ、体重88キロ。中部商業高から日本文理大に進学すると頭角を現し、2022年育成ドラフト10位でホークスに入団。2年目の7月に支配下登録を勝ち取ると、9月にはプロ初勝利を記録。今季は開幕ローテーション入りを果たし、一軍では10試合に先発し2勝2敗、防御率3・12。













