鷹の全面協力に台湾全土が安堵した。ソフトバンクに新加入した徐若熙投手(シュー・ルオシー=25)が26日に台北市内で入団会見に臨んだ。名門ドジャースなどが熱視線を送り続けた徐若熙は今オフ、台湾プロ野球(CPBL)の味全ドラゴンズから海外移籍制度を申請。激しい日米争奪戦に発展した末に、鷹が誠意を尽くして押し切った。契約内容は3年総額15億円超。さらに譲渡金などを含めると巨額投資となった。

 背番号18のユニホームに袖を通した右腕は、会見で「台湾の選手には確かな実力があるということを証明したい。有能な選手が必ずしも高校卒業後すぐに海外へ行く必要はなく、まずはCPBLで経験を積み、そこから海外へ挑戦するという道もあると伝えたい」と所信表明。後進の道しるべとなること、台湾球界への恩返しを誓った。

 将来的なメジャー挑戦も視野に入る最速158キロ右腕は、2023年の台湾シリーズでMVPを獲得するなどCPBLを代表する実力者。来年3月開催の第6回WBCでは台湾代表のエース格として期待されている。

 右腕の去就決定後、台湾ではすぐに「徐若熙のWBC出場は認められるか」という話題に転じた。台湾の成人男性には最長1年の「兵役義務」がある。徐若熙は23年にアスリートに設けられた特別制度で、期間が12日に短縮される資格を取得。ただ、この資格を取得した選手は5年間、代表活動を拒否できないという規定がある。そのため、漏れなくWBC出場となるはずだが、近年はメジャー球団が「故障」を理由に代表供出を拒むケースが散見。来春に最強チーム結成を望む台湾球界やファンは気をもみ、鷹のWBCへの協力姿勢に注目が集まっていた。

 この日の会見には100人を超える報道陣が集結。緊張感が最も走ったのは、鷹の編成トップ・城島健司CBO(49)に向けられたWBC関連の質問だった。返答は「WBC選出は、選手にとって光栄なこと。球団としては出場してもらう方向です」。非協力的なメジャーとは違う。生中継で示された明確な姿勢は選手本人、台湾球界との信頼関係をさらに強固にするにはこれ以上ない回答だった。

 懸案はもう一つもない。台湾の至宝が福岡で思う存分、腕を振る。