ソフトバンクの前田悠伍投手(20)は高卒入団3年目となる来季、規定投球回到達を最大目標に掲げている。

 今季は7月13日の楽天戦でプロ初勝利をマークするも、3試合の登板にとどまった。新人王資格を残して迎えた2年目のオフ。受け止め方は人それぞれだが、自主トレに励む20歳の表情からは悔しさと不甲斐なさがにじんだ。志の高い2023年ドラフト1位左腕にとって、新人王規定の「30イニング以内」に遠く及ばない2年間の一軍稼働実績は、思い描いたキャリアではなかった。

 ウエスタン・リーグ新記録の41回2/3連続無失点――。二軍で無双して一軍切符をつかんだが、実績十分の投手が揃う先発陣に割って入ることができなかった。「悔しかったですね…。もっとできると思っていた」。今季の一軍登板は11回1/3。負けん気の強い20歳にとって、プロ2年目は一軍登板機会に飢え続けたシーズンだった。

 ゆえに来季にかける思いは人一倍だ。シーズン終了を待たずして9月末に左肘関節クリーニング手術を受けたのも、3年目の飛躍を期してのもの。順調に回復し、20日も早朝から福岡・筑後のファーム施設で精力的に汗を流した。

 言わずと知れた鷹のトッププロスペクトで、メジャーを含めた他球団流出の可能性がある有原の去就次第では、一軍戦力としての期待度がグッと高まる存在だ。ただ、手術明けで迎える来季、現場もフロントも「無理は禁物」が共通認識。春の競争を勝ち抜いたとしても、起用イメージは登板間隔を適度に空けながらの〝ゆとりローテ〟となりそうだ。

 それでも本人は状況を理解した上で「いけないことはないと思っています。だから、規定を目標に競争に勝てるように頑張りたい」と言い切る。挑む相手は、実績豊富な投手ばかり。2年目に一軍先発機会を得る難しさを痛感したことで、改めて勝負所でチャンスをつかみ切る大切さを再確認した。

 入団時78キロだった体重は90キロに迫る。肉体とメカニックの進化で球速、球威もアップし、深まる自信。高卒3年目での規定投球回到達を掲げる左腕は、誰よりも飢えている。