ワールドシリーズ連覇を達成してもドジャースに慢心はない。むしろ〝西海岸の帝国〟は昨季の栄光の裏にあった「投壊寸前」の現実を冷静に見つめ、次なる一手を打ち出した。

 その象徴こそが、オールスター級クローザーでメッツからFAとなっていたエドウィン・ディアス投手(31)の獲得である。ドジャース専門サイト「ドジャーブルー」によれば、アンドリュー・フリードマン編成本部長(49)は、先発ローテーションとブルペンの「完全同期」を次季のテーマに掲げている。今季はブルペンへの過度な依存を強いられ、ポストシーズンでも先発陣を次々と救援に回す異例の総力戦を展開。結果的に世界一には届いたものの、綱渡りの戦いだったことは否めない。

 今季の反省からドジャースは、今冬のストーブリーグで静観を装いながらも水面下で着実に布石を打ってきた。ディアスとの3年6900万ドル(約108億600万円)のメガディール(巨額契約)は、その集大成とも言える動きだ。注目すべきは、年数ではなく〝年俸の質〟。ライバル球団が長期契約を提示する中においてドジャースは短期高額という現代型クローザーの価値観を提示し、選手の信頼を勝ち取った。

 ドジャース専門サイト「ドジャースウェイ」は、この決断を「信念で勝った補強」と評した。10月に最高の舞台が用意されていること、重要な局面で最大限の価値を発揮できること――。こうした未来像を示せる球団は、今や限られている。ディアスが選んだのは金額だけではなく、勝利の設計図だった。

 さらにローテーションには山本由伸(27)、ブレーク・スネル(33)、タイラー・グラスノー(32)、先発に戻ることが予想されている佐々木朗希(24)、エメット・シーハン(26)、そして二刀流復帰を目指す大谷翔平(31)が控える。ここにタリク・スクバル(29=タイガース)のトレード獲得の可能性まで取り沙汰されるのだから、フリードマンの視線はすでに「3連覇」のその先を見据えている。

 あくまでも連覇は通過点。妥協なき補強と反省を武器に、ドジャースは〝史上最強の投手王国〟へと進化を加速させている。ディアス獲得は、その序章に過ぎない。