先んずるのは誰か――。プロ野球は本格的なオフに入り、選手たちは来季に向けた肉体づくりや課題克服に時間を割いている。ソフトバンクでは育成選手を対象にオフ明けに「体力テスト」が設けられ、そこで努力の差が鮮明になる。
ホークスが抱える育成選手は12球団最多。これまで育成入団の千賀(メッツ)、甲斐(巨人)、周東らが一軍の主力クラスに成長し、常勝の屋台骨を支えてきた。「努力の対価」を最も身近に感じてきたのが、ソフトバンクの育成選手たちと言っても過言ではない。
立身出世の歴史が脈々と受け継がれているホークスだが、今オフのファーム施設ではこんな声が聞こえてくる。「練習量が少ないように映る」「この時期、若い選手はもう少し質よりも量を意識してもいいんじゃないか…」。寮を併設している福岡・筑後のファーム施設は24時間稼働。選手が好きな時間に、自分のタイミングで練習することができる。効率性を重視したり、人目のつかない時間に練習している選手もいるのだろうが、聞こえてくる声はやや寂しさが募っていた。
オフ明けの「体力テスト」で印象度がガラリと変わる。他者との差、入団以来の成長度など数値を見れば一目瞭然。数字がすべてではないが、おおよそ「オフの努力」が反映されるからだ。フロントや現場首脳陣に与える〝よーいドン〟の印象はその一年を左右する。
合同自主トレなどに参加して意欲的に追い込んでいる選手もいる。12月のある日、山川穂高内野手(34)が練習を行っている福岡市内のグラウンドではこんなやり取りがあった。「中沢! 1億稼ぐ選手になるんだろ?」「はい、1億稼ぎます!」。先輩の叱咤に答えたのは、来季で育成3年目を迎える中沢恒貴内野手(20)。山川が「僕の練習は原始的。この時期にこんなキツい練習、絶対誰もやっていない」という心身ともに疲弊する猛練習を朝から夕方までこなしていた。
黙々と一人で練習に打ち込める人間もいれば、自らを律するのが苦手な人間もいる。時代の流れとともに、球団内でも〝耳の痛い話〟を選手に伝える機会も減ってきた。オフ明け、努力の差がテスト結果に出るはずだ。












