ドジャースが9日(日本時間10日)、メッツからFAとなっていたエドウィン・ディアス投手(31)と3年総額6900万ドル(約108億円)で契約合意した。この衝撃のニュースが伝わるやいなや、ディアスに〝捨てられた〟側のニューヨークは裏切り劇の中心に突然放り込まれ、大きな衝撃に包まれているようだ。

 なにせメッツが提示した3年6600万ドル(約102億4000万円)の残留オファーより、わずか300万ドル(約4億7000万円)上回っただけで「LA行き」を選ばれた格好。メッツ大富豪オーナーのスティーブ・コーエン氏から見れば「はした金」の差額だっただけに、NYファンのショックと怒りは計り知れない。

 その心情を最も象徴したのが、地元メディア「ニューヨーク・ポスト」紙の同日発行紙面で全面に掲載された裏表紙。メッツ公式キャラクターで全米からも愛される「ミスター・メッツ」が、本拠地シティ・フィールドのベンチで大型ビジョンに映るディアスを背に涙する姿だ。添えられた見出しは「音楽が死んだ日」。ディアスの入場曲「ナルコ」が球場から消えることへの喪失感と〝たったの300万ドル差で奪われた怒り〟が凝縮されていた。

 メッツファンにとって、ディアスは6年間で通算144セーブ、昨季防御率1.63を記録した救世主。そんな絶対的守護神をドジャースに強奪されたニューヨークの落胆は深い。

 一方で怒りを爆発させたのが、NYのラジオ局「WFAN」の人気アンカーとして知られるMLBアナリストのサル・リカタ氏(46)だ。「ディアスが戻ってきたら、トランペットを吹き鳴らしてたたき潰してやる」「ニューヨークの煙に耐えられなかったんだ。かわいそうなエドウィン、また後でな」などと、同局の番組放送中に〝生ぶち切れコメント〟を連発。マリナーズからメッツへ移籍1年目となった2019年のシーズンで防御率5・59といきなり低迷した事実を引き合いに出し、ドジャースでも失敗するといわんばかりにディアスを徹底的に批判した。

 ただドジャース側も、もちろん確固たる成功の裏付けがあるからこそ獲得に動いた。確かにクオリファイング・オファーを拒否したディアスを獲得したことで、2026年ドラフト上位の指名権を失う点は痛手だ。それでものアンドリュー・フリードマン編成本部長(49)は「我々には強力なファームシステムがある。だからこそ発生する〝コスト〟(ドラフト上位指名権喪失)は覚悟の上だ」と説明。今オフのFA市場で最大の目玉だったディアスとの契約が世界一連覇を見据えた「本気の買い物」であったことを強調した。

 いずれにせよ、メッツがドジャースに競り負けた今回の移籍劇はニューヨーク側の喪失感と怒りをかき立て、ナ・リーグ同士の来季東西対決は早くも因縁カードとなりそうだ。〝裏切られた街〟NYは、もうディアスを許さない――。